講演する黒田氏
講演する黒田氏
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 京都大学医学部附属病院 医療情報企画部・教授の黒田知宏氏は、「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のカンファレンスに「ソーシャルホスピタル 社会全体が医療を担う時代へ」と題して登壇。(1)医療現場はどこまで情報化が進んでいるか、(2)医療データはビッグデータなのか、(3)これから先、情報技術が医療をどのように変えようとしているのか、というテーマで講演した。

 まず(1)の医療現場はどこまで情報化が進んでいるかについては、黒田氏が勤務する京大病院の事例を紹介した。同病院では2005年から電子カルテを導入。現在は90台のアプリケーションサーバー上にカルテデータを保存、シンクライアントを利用する仮想デスクトップ方式を採用している。研究室からアクセスする端末を含めると、合計で2500台もの端末がサーバーに接続しているという(関連記事:医療は家庭、日常、体内へ “昔の未来”は今も未来(上))。

 さらに、現在構築を進めているのが「場所」によって文脈を知る「コンテキスト・アウェア・コンピューティング」。センサーネットワークを利用して患者や医療従事者の位置情報を把握する仕組みである。看護師は端末上で効率的に病床の状態を確認可能になった他、実際に外来患者案内システムに応用したところ、待合室での無駄な順番待ちを減らすことに成功し、100時間ほどの時間削減につながったと話す。