講演する大西氏
講演する大西氏
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 三重大学大学院 医学系研究科 准教授の大西丈二氏は、「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のオープンシアターで、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みについて講演した。大西氏は老年医学の専門家。現在は三重県南伊勢町の役場に職場を置き、地域のコホート研究を進めている。

 地域包括ケアシステムの構築においては、「Community Care」(地域によるケア)と「Integrated Care」(医療だけでなく、介護やサ高住などを含めた統合型のケア)、そして「Comprehensive Care」(包括的なケア)の視点が重要と大西氏は説明する。「包括的」とは、疾患だけでなく、社会的環境や認知機能、うつ、日常生活動作(ADL)、視力・聴力・コミュニケーション能力、栄養状態、QOL、介護負担などについても高齢者の状態を明らかにし、総合的にケアしていくことを意味している。

 包括評価に基づく自治体のケアを推進するため、厚生労働省は「介護予防・日常生活支援総合事業」を介護保険制度による地域支援事業の一つに位置付け、ガイドラインをまとめた。介護福祉士や看護師といった専門職によるフォーマルケアは高コストであり、今後、高齢化が進めば、サービス提供が間に合わなくなるなど、地域での助け合いが不可欠な状況になることが予想される。厚労省は2015年7月に、総合事業開始後の訪問サービスについて、専門職が提供するサービス、地域のボランティアなどが提供するサービスの単位数などを示すサービスコード表を発表した。