厚生労働省の安藤公一氏
厚生労働省の安藤公一氏
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 特定健診データやレセプト(診療報酬明細書)データを活用し、健康保険組合などの医療保険者が、加入者の健康状態に即した効率の良い保健事業を実施する「データヘルス」。厚生労働省の指導により医療保険者が作成したデータヘルス計画に基づき、2015年度から第1期が始まった。

 その最新動向はどのようになっているのか。厚生労働省保険局 医療介護連携政策課 医療費適正化対策推進室長の安藤公一氏が、いくつかの事例を示しながら「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)で報告した。

保険者だけでなく「企業も一緒に」

 データヘルス計画では、前述した特定健診およびレセプトデータの分析からリスクの階層化を実施し、効果が高い対象者を抽出する。そしてPDCAサイクルで事業を回していく。さらに規模に応じた事業範囲、外部専門事業者の活用、事業主との協働によるコラボヘルスも重視する。医療保険者に加え「企業も一緒になって問題に取り組んでもらう」(安藤氏)のが狙いだ。

 安藤氏は続けて、日本最大の医療保険者である「全国健康保険協会(協会けんぽ)」における共通基本分析例をスライドで提示した。金属工業と道路貨物運送業を比較したそのグラフからは、体重・血糖・血圧・メタボの数値において、業態間における顕著な差が見られた。道路貨物運送業は総じて数値が高く、あまり良いとは言えない健康状態を示したという。こうした分析は地域別にも反映可能で、実際に日本全国における高血圧分布マップを披露。よく言われるように北日本の数値が高い結果となり、データによる可視化の有用性を訴えた。