江崎氏の講演の様子
江崎氏の講演の様子

 「ヘルスケアデータコンソーシアム(仮称)」を2015年度内に設立する――。経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課長の江崎禎英氏は、「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のカンファレンスで、こうした構想を打ち明けた(同氏の講演の様子は関連記事「健康経営銘柄はホワイト企業?『文化が変わる』と経産省」を参照)。

 ヘルスケアデータコンソーシアム(仮称)は、健康経営を加速させる枠組みとして発足した「KENKO企業会」を中心に、従業員などのデータを蓄積・活用する主体として立ち上げるものだと江崎氏は説明。近く、検討委員会を設置し、企業や健保、サービス事業者などのニーズを踏まえた健康データの種類やフォーマットを整備するという。

 KENKO企業会は、連携を取り合いながら健康データを共有し、より正確な統計結果や効率的な手法の開発、施策の改善などに役立てることを目的に、テルモやNTTドコモなど14社が2015年6月に設立。現在では25社、従業員の家族を含めると約70万人規模が参加している。

 2016年度には、企業や健保などと協力し、本人同意の上でレセプト・健診・健康データの利活用実証を進める考え。こうした取り組みにおいては、江崎氏は、匿名データではなく実名データに価値があると強調。「100万人の匿名データよりは、300人の実名データのほうが圧倒的に価値がある。そうすると行動変容まで起きるし、データの価値も高まる」(江崎氏)。

 さらに今後の展開として、「中小企業にも広げていく。中小企業もこうした行動変容が起きたときの効果は非常に大きい。健康データをいかに価値あるものにしたうえで、行動変容まで起こさせるかが重要だ。我々は、最期まで幸せに生きる社会を作りたい」(江崎氏)と語った。