講演する梅田氏
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奈良県立医科大学を中心とするコンソーシアムの展示ブース
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 「半導体・エレクトロニクス分野の有力企業が本格的に動き始めた。日本よりも早く(ICTを活用した)ヘルスケアサービスが展開される可能性がある」――。「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のオープンシアターに登壇した奈良県立医科大学 産学官連携推進センター 教授の梅田智広氏がこう指摘した地域。それが台湾だ。

 「総合健康評価エンジンの研究開発と利用事例」と題する講演では、産官学連携型のヘルスケア実証プロジェクトが台湾で相次ぎ立ち上がっていることを紹介。ここに梅田氏らも参画し、「健康みはり」など同氏が開発に加わった日本発ヘルスケアサービスを実装したいと話した(関連記事)。同氏のグループは「健康関連のビッグデータから何が大切(なデータ)かを評価するエンジンを開発し、クラウドに実装する」ことを狙っており、台湾でもその実証を進める考え。

 同氏らが加わるプロジェクトには、クラウドプラットフォームベンダーとして台湾ASUSTeK Computer社(ASUS)が名を連ねており、他にも複数のハードウエア/ソフトウエア企業や、7000床近くを誇る大手医療機関が参加する。プロジェクトで実証するヘルスケアサービスを、ゆくゆくは中国や米国などにも展開する狙いだ。台湾では、ASUSなど大手エレクトロニクス企業がこぞってヘルスケア分野に本腰を入れ始めており、EMS最大手のHon Hai(鴻海)グループもそのうちの1社という。

 こうした動きの背景として梅田氏が指摘したのは、台湾が「アジアで最も肥満率が高い」地域だという事実。結果として、高血圧や糖尿病などの生活習慣病による死亡率が日本などに比べて高いという。日常的な運動不足や油分の多い食生活、ふっくらしていることが裕福さの象徴であるという独特の慣習などが背景にある。「日本以上に(IT)インフラが整っている」点もヘルスケアサービスの有望市場といえる理由だ。