サルーステック代表取締役の小川 博司氏
サルーステック代表取締役の小川 博司氏
[画像のクリックで拡大表示]

 サルーステック代表取締役の小川 博司氏は2015年9月30日、東京ビッグサイトで開催中の「デジタルヘルスDAYS」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のオープンシアターにおいて、同社が取り組んでいる市販のイヤホンやヘッドホンを使って耳から生体信号を検出する技術を解説した(関連記事)。

 密閉型のイヤホンやヘッドホンを使って外耳道(カナル)の空気室を密閉すると、鼓膜近くの動脈の動きによる空気圧の変化から脈波などの生体信号を検知できるようになる。イヤホンが取得した生体信号の測定結果は専用のアダプターを経由して、4極イヤホンジャックのマイク端子を通じてスマートフォンに送られ、スマホの専用ソフトが画面表示する。

 最近では「せっかく耳にイヤホンやヘッドホンを装着するのだから、音楽を聴きながら測定できないのか」という要望を受けて、そのための技術も開発している。これは音楽信号と生体信号は周波数分離が可能であり、なおかつ電気信号を空気の圧力に変換するイヤホンはそのまま空気の圧力を電気信号に変換するマイクになるという性格を利用したものだ。イヤホンが可聴域の周波数帯域を、生体信号を取得するマイクが非可聴域の周波数帯域を使用する。

 密閉型イヤホンやヘッドホンのほとんどが利用可能であり、開放型のイヤホンもアダプターを使って密閉型に変換できるという。どうしても市販のイヤホンとアダプターだけで外耳道を密閉できない人には、米United Science社の3Dスキャナーで耳の形をスキャンして、3Dプリンターでイヤホンを作成するためのデータを生成するサービスも検討しているという。