アドバンテック(本社東京)、オムロン、NEC、日本アイ・ビー・エム、日本オラクル、三菱電機の6社は、産業向けエッジ・コンピューティングを推進する「Edgecross コンソーシアム」を設立すると発表した。複数メーカーの機器・設備が混在するマルチベンダー環境の工場におけるエッジ・コンピューティングを推進するため、共通基盤(プラットフォーム)となるソフトウエアを開発・提供する。工場のIoT化を加速させるのが狙いだ。

図1 幹事となる6社のメンバーと顧問を務める東京大学名誉教授の木村文彦氏(右端)
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図1 幹事となる6社のメンバーと顧問を務める東京大学名誉教授の木村文彦氏(右端)

 開発するプラットフォーム「Edgecross」は、WindowsもしくはLinuxをOSとする産業用コンピューター上で稼働し、複数ベンダーの機器・設備のインタフェースや通信規格の違いを吸収し、収集したデータをラベリングして階層化して管理する機能を持つ。「FAとITを協調させる日本発のオープンなプラットフォームを目指す」(コンソーシアム設立準備事務局)。コンソーシアム会員企業には仕様を公開し、Edgecross対応アプリケーション(アプリ)の開発を促すとともに、開発したアプリを流通させるための専用マーケットプレイスも開設する。

 Edgecrossを利用することで、マルチベンダー環境の現場設備から容易にデータを収集できるようになるとともに、リアルタイムでの設備へのフィードバック、データモデル管理によるデータの抽象化、多様な対応アプリケーションによるエッジでの完結したデータ活用、上位のクラウドシステムとのシームレスな連携、などを実現できるとしている。

図2 Edgecrossの機能概要
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図2 Edgecrossの機能概要

 工場向けエッジ・コンピューティングのプラットフォームとしては、ファナックが「FIELD system」の提供を始めている。Edgecrossコンソーシアムの設立準備事務局は、「FIELD systemの詳細を把握していないのでなんとも言えない」と前置きした上で、Edgecrossの特徴は、[1]オープンでハードウエアに依存しない、[2]あらゆる機械設備・バリューチェーンとの接続を対象としている、[3]エッジのみで稼働する点だとして、「FIELDsystemとの協調も視野に入れて活動していきたい」と語った。