オートメーションと計測の先端技術総合展「システム コントロール フェア(SCF)2017 / 計測展2017 TOKYO」(2017年11月29日~12月1日、東京ビッグサイト)の開催概要に関する記者発表会が、同展示会の実行委員会によって同年11月1日に行われた。最大の目玉は、主要14社の機器を工場の設備に見立ててリアルタイムで連携させる「電機・計測エコシステム」という主催者企画だ。

 SCFと計測展TOKYOは、これまでも「同時開催」という形で協力していたが、今回は「合同開催」として一体化し、メッセージも「IoTで未来を拓くものづくり新時代」に統一した(関連記事)。従来の軸である制御/計測技術に加えて、IoTやAI(人工知能)といった最先端のICTを取り込むことで、新たな価値が創出できることを来場者に提示していく。

メッセージは「IoTで未来を拓くものづくり新時代」
メッセージは「IoTで未来を拓くものづくり新時代」
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実行委員会委員長の朝田稔氏(東芝インフラシステムズ)
実行委員会委員長の朝田稔氏(東芝インフラシステムズ)

 実行委員会委員長の朝田稔氏(東芝インフラシステムズ)によれば、今回の展示会では、産業用IoTについて「概念からユースケース・実践へ」という潮流を促進する狙いがあるという。その1つが、前述の電機・計測エコシステムだ。この企画では、実行委員会に名を連ねる14社*1の機器を、酒造工場の各工程において制御/計測を担う設備に見立てた上で、各機器のデータをリアルタイムで集約・可視化する。機器は各社のブースに展示されており、LTE回線を通じてデータをクラウドサーバーに集約*2。会場の中心に位置するアトリウムのモニターなどにまとめて表示する。

*1 IDEC、アズビル、オムロン、島津システムソリューションズ、チノー、東芝グループ、パナソニック、日立グループ、富士電機、HORIBAグループ、三菱電機、明電舎、安川電機、横河グループの14社。
*2 データの集約・可視化には、富士通のIoT基盤「COLMINA(コルミナ)」を使った。
「電機・計測エコシステム」の概要
「電機・計測エコシステム」の概要
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実行委員会副委員長の戸枝毅氏(富士電機)
実行委員会副委員長の戸枝毅氏(富士電機)

 この企画を担当する実行委員会副委員長の戸枝毅氏(富士電機)によれば、これだけのメーカーの機器をつなげてデータを集約・可視化する取り組みは過去に類を見ないという。「このデモンストレーションによって、実際にできるということを特に中小企業に示せることが重要だと思っている」(同氏)。今後は、産業用IoTの普及に向けてクラウドサーバーの仕様などを公表することなども検討している。

 このほか、ドイツや米国のキーパーソンを招いた「世界ものづくりフォーラム」や、中堅・中小製造業のIoT導入について議論するパネルディスカッション、ものづくりの最前線で活躍している女性に焦点を合わせた講演やパネルディスカッションなどを開催する予定である。さらに、中国の自動化に関する展示会「SIAF Guangzhou」との交流を通じて実現した、「中国製造2025(Made in China 2025)」に関する講演も行われる。

「世界ものづくりフォーラム」
「世界ものづくりフォーラム」
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中堅・中小製造業のIoT導入
中堅・中小製造業のIoT導入
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女性に焦点を合わせた講演やパネルディスカッション
女性に焦点を合わせた講演やパネルディスカッション
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 今回は、2020年に開催される「東京五輪・パラリンピック」の準備で東京ビッグサイトの西2ホールが使用できないため、西1・3・4ホールでの開催となる。これに伴い、出展者数は前回(2015年)を下回る見込みである。2015年の出展者数が281だったのに対し、2017年は同年10月23日時点で196にとどまっている。ただし、来場者数については前回を上回る5万人以上を想定している(前回は4万9484人)。