トヨタは2014年にFCV「ミライ」を発売(関連記事:トヨタFCV発進、10年後にはHEV並みに低コスト化) 。今回のコンセプト車は、ミライで蓄積したFC技術を改良した。1充填あたりの航続可能距離(JC08モード燃費)を、ミライの650kmに比べて約1.5倍に延ばす。日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」の約400kmに対しては、2倍以上の距離を走れるようにする。
1000kmという航続可能距離は(1)IWMの採用による水素タンクの搭載空間拡大、(2)FCスタックの電気変換効率の向上、(3)空気抵抗や転がり抵抗など走行抵抗の低減——で実現する。
IWMを前後左右の車輪に搭載することで、従来必要としていた大型の駆動用モーターが不要になる(図3)。車両の空間を広く使えるようになり、水素タンクを大型にできる。水素タンクは縦長の円筒形を採用し、車両中央の床下部分に全長方向で組み込んだ。
トヨタでFCV開発を担当する技術者は「IWM搭載の課題は、車輪の質量増加とモーターの制御だ」と明かす。モーターの質量は1個あたり20k〜25kg。車輪周辺の質量配分は従来車から大きく変わる。