トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)のコンセプト車を「第45回 東京モーターショー 2017」(東京ビッグサイト、一般公開:10月28日〜11月5日)で公開した(図1、2)。名称は「Fine-Comfort Ride」。前後左右の車輪にインホイールモーター(IWM)を搭載。水素タンクの大容量化やFCスタックの電気変換効率を高めて1000kmの航続可能距離を実現する。

図1 トヨタ自動車が公開した燃料電池車(FCV)のコンセプト車「Fine-Comfort Ride」
図1 トヨタ自動車が公開した燃料電池車(FCV)のコンセプト車「Fine-Comfort Ride」
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図2 斜め後ろから
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図3 IWMを搭載する
図3 IWMを搭載する
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 トヨタは2014年にFCV「ミライ」を発売(関連記事:トヨタFCV発進、10年後にはHEV並みに低コスト化) 。今回のコンセプト車は、ミライで蓄積したFC技術を改良した。1充填あたりの航続可能距離(JC08モード燃費)を、ミライの650kmに比べて約1.5倍に延ばす。日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」の約400kmに対しては、2倍以上の距離を走れるようにする。

 1000kmという航続可能距離は(1)IWMの採用による水素タンクの搭載空間拡大、(2)FCスタックの電気変換効率の向上、(3)空気抵抗や転がり抵抗など走行抵抗の低減——で実現する。

 IWMを前後左右の車輪に搭載することで、従来必要としていた大型の駆動用モーターが不要になる(図3)。車両の空間を広く使えるようになり、水素タンクを大型にできる。水素タンクは縦長の円筒形を採用し、車両中央の床下部分に全長方向で組み込んだ。

 トヨタでFCV開発を担当する技術者は「IWM搭載の課題は、車輪の質量増加とモーターの制御だ」と明かす。モーターの質量は1個あたり20k〜25kg。車輪周辺の質量配分は従来車から大きく変わる。