「医療を基礎とするまちづくり」にも展開

 台湾は「ビッグデータ活用に関して大きなポテンシャルを持つ」と梅田氏は話す。例えば今回のプロジェクトに加わっているShow Chwan Memorial Hospitalは7つの病院を展開し、300万人の30年間にわたる医療データを保有しているという。プロジェクトではこうしたビッグデータ、さらにはIoT(Internet of Things)なども活用しながら、個別化した健康管理サービスの創出を目指す。台湾は電子機器やデバイス製造における世界の中心地でもあり、「デバイスを安く速く作れる。こうした強みも生かしてサービスを構築していく」(梅田氏)。

ヘルスアカウント社は「生涯健康口座」サービスなどを手掛けていく
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 プロジェクトでは、ヘルスアカウント社が提供する「フィットネススコア」などの指標も加えたビッグデータ解析を手掛ける。フィットネススコアは、身長など簡単に測れる数値から筋肉量を推定できる指標で、寝たきりになる兆候などを早期に捉えられるという。こうした指標も使いながら、疾患の重症化や合併症のリスクを見える化し、早期に対策を打てるようにする。

 台湾と日本では疾患や死因の傾向が似ていることから、「今回のプロジェクトの成果は日本でも十分に活用できる」と梅田氏は話す。奈良県立医科大学が主導する「MBT(Medicine Based Town:医療を基礎とするまちづくり)にも成果をしっかり実装していきたい」とした(関連記事)。