いかに普及させていくのか

 奈良県立医科大学が最終的に目指しているのは「日本版CCRC」の実現である。ただし、CCRC(Continuing Care Retirement Community)はもともと米国でスタートした概念。このため、保険制度や社会保障制度が異なることを踏まえると「日本の生活習慣に合わせるたものを作る必要がある」(梅田氏)。

 そこで、梅田氏が重要なポイントとして挙げるのが「セキュリティー・保安」「医療・予防」「生活サポート」の3つだ。この3つをそろえないと「健康状態から介護まで、同じ場所で継続的にケアを受けるのは困難」(梅田氏)と指摘する。同時に、現在もっとも強化すべき点として「セキュリティー・保安」を挙げ、孤独死などを未然に防ぐ見守りサービスの必要性を説いた。

 もう一つ、梅田氏がポイントとして挙げたのは、健康管理における共通プラットフォーム(エコシステム)の構築だ。「どんなに良いアプリがあっても、利用するプラットフォームがバラバラではサービスが分散してしまう」(梅田氏)。そこで現在、統一されたプラットフォームの実装を進めている。

 そして、このプラットフォームを利用して実現を目指しているのが、健康状態や手・足の筋肉を可視化するようなツールやアプリなどの開発だ。将来的には、さまざまな疾患や医療費の予測、ダイエットなどの行動変容の促進などへの展開も見据えている。

 最後に梅田氏が語ったのは、ここまでに紹介した取り組みなどを「いかに普及させていくのか」ということ。取り組み自体を知ってもらうために「おしえて!奈良医大」という医療系15分番組を制作したほか、幅広いデジタルデータを送信できる新放送サービス「i-dio」にも展開し、「Amanek健康ランド」という双方向対応の番組をスタートしたことを紹介した。