他と同じようなサービスでは誰も注目しない。新しいサービスには「独創」と「費用」が求められる――。「デジタルヘルスDAYS 2017」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)3日目のカンファレンスに登壇した奈良県立医科大学 産学官連携推進センター MBT研究所 教授の梅田智広氏は、「動き出した、医学を基礎とするまちづくり~MBT構想による日本版CCRCの実現~」と題して講演。同大学が展開するMBT(Medicine Based Town:医療を基礎とするまちづくり)の概要やこれまでの取り組みなどについて語った。

奈良県立医科大学の梅田氏
奈良県立医科大学の梅田氏
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 MBTは、奈良県立医科大学が持つ医学的知見やノウハウを投入し、少子高齢社会を快適に暮らせるまちづくりの実現を目指すもの。現在、同大学周辺のエリアなどで、実際のまちづくりや新しいサービスの実証実験を進めている。高齢者だけでなくその街に住む全員を対象としているのがポイントで、妊婦や子どもはもちろん、街に住む全ての人達をカバーできるようなモデルの実装を目指している。「この取り組みを、奈良県だけで終わらせるつもりはない。すでに他の自治体でもスタートしており、いずれは日本全国や世界に向けたパッケージモデルとして提案していきたい」(梅田氏)。

 MBTを展開していくうえでは、ハードやソフトの開発、そして運営などが必要となる。この中で、梅田氏がプロジェクト開始当初から意識しているのが「運営」だという。自身の経験から「どんなに良いものを作っても、使ってくれる人がいないと普及しない」と力説し、運営の重要性を説いた。

 さらに、梅田氏がサービス・事業化に立ちはだかる課題として挙げたのが「時間」「独創」「費用」「品質」の4つ。なかでも、「独創」「費用」の2つを重要視しているという。「新しいサービスを展開するとき、他と同じようなサービスでは誰も注目しない。だからこそ、オリジナリティーを求めるとともに、とにかく安いサービスの実現を目標にやっている」(梅田氏)。