今年の「東京ゲームショウ」の見所は、VR(拡張現実感)ゲームだ。中でも数多くのVRコンテンツを出展したのが、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)である。同社は、据置型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」に向けた、VR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「PlayStation VR」向けコンテンツを、試遊可能な状態で10種類展示した。同社のゲーム開発のキーパーソンであるWorldwide Studios プレジデントの吉田修平氏に、VRコンテンツの動向やSCEブースの見所などについて話を聞いた。(聞き手は根津 禎=日経エレクトロニクス)
——今年のSCEブースの見所を教えてほしい。
なんと言っても、PS VR関連の展示だろう。今回10種類のVRコンテンツを出展し、それぞれで2つの体験場所を設けたので、計20カ所でPS VRを試遊できる。
SCE製のVRコンテンツは、アクションシューティングゲーム「RIGS」と、アクションゲーム「THE PLAYROOM VR」である。前者は、3対3でオンラインの対戦チームプレーが楽しめるものだ。
後者は、HMDをかぶっているユーザーと、かぶらずにディスプレー画面をみながらプレーするユーザーで競うゲームである。このTHE PLAYROOM VRに新しいバージョンのゲームを追加した。一言で表現すれば、「だるまさんが転んだ」のような遊び方をするものだ。HMDをかぶったユーザーがネコになり、コントローラーで操作するユーザーがネズミになる。ネコが物影から頭を出したときに、ネズミは静かにしていないといけない。
我々のコンテンツだけでなく、他社のコンテンツも多い。内容もバラエティーに富んでいる。ゲームやゲームの世界に入り込めるものから、カラオケやアニメなどもある。
カプコンの「KITCHEN」や、バンダイナムコエンターテインメントの「サマーレッスン」などは、VRで物語を体験するタイプのコンテンツだ。今後、ユーザーがVR空間内の登場人物として参加する、VRを活用した新しい「ストーリーテリング」ものができるのではないかと非常に期待している。
また、ブースでの体験方法も変えた。今までは、空いた場所にユーザーを誘導していた。つまり、ユーザーには体験するVRコンテンツを選ぶ権利はなかった。今回は、ユーザーが自由に選べるようにした。VRは非常にパーソナルな体験だ。なので、好きなコンテンツをプレーできるようにすることは、ことさら重要だ。特にゲームの世界に入り込めるコンテンツは、そのゲームのファンがプレーすると、深く没頭して楽しんでもらえる。