KDDI総合研究所は2017年10月2日、撮影した映像をカメラが存在しないアングルも含む任意の視点からリアルタイム視聴できる「自由視点VRリアルタイム制作システム」を開発したと発表した(プレスリリース)。同日に実施された「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3~6日、幕張メッセ)の報道機関向けメディアコンベンションにおいて、同システムをクライミングに適用したデモンストレーションをKDDIブースで披露した。会期中、来場者の「強い希望」があれば、クライミングに挑戦できるという。

KDDIブースで披露された「自由視点VRリアルタイム制作システム」のデモ
KDDIブースで披露された「自由視点VRリアルタイム制作システム」のデモ
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 自由視点VR(仮想現実)とは、あらゆる視点からの映像視聴を可能とする自由視点技術を、複数のカメラから抽出された選手などの人物領域を3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)モデルとして合成することによって実現する技術のこと。今回のデモでは16台のHDTVカメラを使って、クライミングの人物を撮影。得られた映像からリアルタイムに自由視点VRを作成する。ユーザーは手元にあるゲーム用コントローラーによって、どの視点のVRを表示するかを自由に選べるようになっていた。

自由視点VRリアルタイム制作システムのデモ構成
自由視点VRリアルタイム制作システムのデモ構成
出所:KDDI総合研究所
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 同研究所によれば、このデモは5G(第5世代移動通信システム)の超高速性と超低遅延の活用を意識したものとする。今回のデモで16台のHDTVカメラが送信する映像データは約100Mビット/秒。現行の4Gでは安定した伝送が難しい。また、制作システムのリアルタイム処理が可能になっても、送信する無線ネットワークの遅延が大きいと、操作と表示の間にタイムラグが生じる。5Gの要求仕様となっている「5Gの無線区間は遅延1ミリ秒」を達成すれば(関連記事)、無線ネットワークの存在を意識することなく、操作できるという。