2017年9月1日、米Niantic(ナイアンティック)で「ポケモンGO」の立ち上げに参加した川島優志氏と、開発を指揮した野村達雄氏が、ゲーム開発者会議「CEDEC 2017」の基調講演に登壇(写真1)、Nianticの理念やAR(拡張現実)についての考えなどを紹介した。講演タイトルは「GO OUTSIDE! Adventures on foot」(外に出よ!足で歩く冒険)。ポケモンGOは世界的なブームとなっているスマートフォン用のARゲームである。

写真1●米Nianticの川島優志氏(左)と野村達雄氏
写真1●米Nianticの川島優志氏(左)と野村達雄氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「Nianticのロゴはジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』をモチーフにしたもの。ポケモンGOでパッと成功した感じがあるかもしれないですけど、僕たちの旅は全然平坦なものではなく、(80日どころではない)大変な道のりでした」と語る川島氏は、Nianticの理念と言えるものを紹介する。

 「最初に(NianticのCEOである)ジョン・ハンケと『どうやったら世界を変えられのか?』という話になったとき、ジョンは『人が外に出れば世界は変わる』と言い出した。日本で言う『風が吹けば桶屋が儲かる』のような考え」(川島氏)。

 その過程は、「外に出る」→「EXERCISE(運動する)」→「EXPLORE(探索する)」→「SOCIAL(交流する)」→「世界が(良い方向に)変わる」というもの。外に出て運動すれば健康になり、運動しながら探索すれば新しい発見がある。そして、探索の中で国籍や世代、人種、宗教などを超えて人と交流すれば、世界が良くなる、という発想だ。

 また「ジョンの息子がカリフォルニアの本当に素晴らしい天気の日に、家のソファーで『マインクラフト』をしている。『どうやったら彼を外に出せるか?』と考えたのがNianticの一つの始まりでもあった」(川島氏)。

 この考えに基づいて最初に開発したのが、位置情報に連動して名所などの情報を表示するARアプリの「Field Trip」。そして次に開発したのが、ポケモンGOの前身としても知られる位置連動ARゲームの「Ingress」だ。