Augmented Clinical Cockpitの表示画面例
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治療と効果を時間軸上でひもづける
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ベンダー・ニュートラル・データフロー・マネジメント(VNDM)を活用
ベンダー・ニュートラル・データフロー・マネジメント(VNDM)を活用
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大容量ストレージなしにVNAを構築可能
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AIの活用も視野に
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 治療とその効果、各時点の検査画像やバイタルデータを臨床上の目的に応じたさまざまなパターンで表示し、臨床医の意思決定を支援する――。東芝メディカルシステムズは、そんな機能を備えた医療情報統合ビューワー「Augmented Clinical Cockpit」を2017年内に発売する(関連記事1)。医療機器やPACS、電子カルテなどのベンダーに依存せず患者ごとの情報を統合的に管理できる「ベンダー・ニュートラル・データフロー・マネジメント(Vendor Neutral Dataflow Management:VNDM)」を活用したもの。「国際モダンホスピタルショウ2017」(2017年7月12~14日、東京ビッグサイト)に出展し、循環器領域などへの応用をアピールした。

 東芝メディカルは、臨床医が必要とする情報の収集・統合・加工・提示に重きを置く戦略を打ち出している(関連記事2)。VNDMとAugmented Clinical Cockpitはそれを具現化した製品である。

 VNDMはいわゆるベンダー・ニュートラル・アーカイブ(Vendor Neutral Archive:VNA)の一種で、東芝メディカルグループの米Vital Images社およびカナダKaros Health社の技術を活用したもの。HL7やSS-MIXなどの標準フォーマットに準拠したデータをベンダーに依存せず取り込めることに加え、Tagの自動変換という方法でストレージなしにデータを共有できる特徴がある。大容量ストレージが不要なため、データ統合のための初期コストを抑えられるという。

 Augmented Clinical Cockpitは、各患者にひもづけてVNDMに統合したデータから、臨床医の意思決定につながる情報を抽出し表示する。例えば治療とその効果、各時点の検査画像やバイタルデータを、時系列に整理して示すことが可能だ。診療ワークフローに沿って表示内容を柔軟に変えられるため、各時点で臨床医が必要とする情報を提示できる。統計値やアラートを表示したり、ガイドラインやルールに基づく異常値を検出したりするなどの解析機能も搭載する。

 まずは医療機関と共同で、循環器向けの機能実装と評価を進めている。例えば体重変化や水分の出入り、心エコーなどを同期表示し、心不全の兆候を捉えるといった応用が考えられるという。基本的な表示機能を備えた製品を2017年内に発売し、統計や解析の機能も2018年3月をめどに搭載予定。システムは、VNDM向けPCサーバーやAugmented Clinical Cockpit向けWebサーバーなどを導入することで利用できる。

 今後は、がんや脳疾患向けなどでも開発と評価を進める。画像診断装置の疾患別アプリケーションをAugmented Clinical Cockpitの支援機能に活用したり、ビッグデータ解析やAI(人工知能)に基づく臨床意思決定支援システム(Clinical Decision Support System:CDSS)と連携させたりすることも構想中だ。