医療保険のオンライン資格確認および医療等ID(保健医療分野の情報連携に用いる識別子)制度が2018年度から段階的に運用開始し、2020年には本格運用が始まる(関連記事)。こうした政府の決定に対して、実現に向けた日本医師会の「医療分野等ID導入に関する検討委員会」は2016年6月に報告書をまとめ、公表した。

 医療等IDの本質やユースケース、未検討の課題は――。同検討委員会の委員長でもある医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)理事長の山本隆一氏は、「国際モダンホスピタルショウ2016」(2016年7月13~15日、東京ビッグサイト)のカンファレンスで語った。

山本氏
山本氏
[画像のクリックで拡大表示]

 冒頭、山本氏は、個人番号制度は「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」という法律名からも分かるように、利用範囲は行政続きに限られていることをあらためて説明。「法律の立て付けから、社会保障の収入面に関して使えるが、社会医療の支出面である医療や介護サービスには使えない」とし、医療や介護サービスの提供側で使える番号制度が必要だということから、医療等IDが検討されたと経緯を説明した。