採卵から培養、胚移植記録など体外受精・胚移植の工程管理を網羅した電子カルテシステム
採卵から培養、胚移植記録など体外受精・胚移植の工程管理を網羅した電子カルテシステム
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 不妊治療、特に生殖補助医療(ART)を実施する医療機関の多くは、施設独自の生殖医療支援システムを委託開発するなどして運用している。同時に電子カルテシステムはベンダー製の汎用的なシステムを導入し、部分的に連携しながら運用しているケースが多い。

 そうした中、不妊治療全般を支援する機能を実装した電子カルテシステムが、アイフロントの「コウノトリ」だ。同システムは越田クリニック(大阪市)の依頼の下に、FileMakerをプラットフォームに同社が開発したもの(関連記事)。今回、「国際モダンホスピタルショウ2016」(2016年7月13~15日、東京ビッグサイト)に出展した。

 コウノトリは、体外受精・胚移植(IVF-ET)の治療工程管理を網羅しており、カルテシステムで培養記録を記載できる。電子カルテと機能が連動しているため、胚培養士が入力した記録を医師は確認しつつIVFサマリーも効率的に作成できるほか、日本産婦人科学会へのART実施登録の入力支援やデータの後利用に活用しやすくなる。

 診療記録と培養記録などが連動した高い見読性が特長という。「ARTはデータに基づく治療計画と治療が不可欠とされており、ART実施履歴を診療記録として参照したいという医師の要望に応えている」(アイフロント)。また、診療記録は不妊治療独自のテンプレートによる入力形式で容易さを高め、過去の診療記録や検査結果などを時系列で確認したり、必要な記録の検索も迅速に行えたりできる。

 追加した機能としては、まず、凍結胚の管理に加え、凍結精子の管理もできるようにしたことと。そして、その際に凍結保存タンクにおける凍結胚・凍結精子の場所管理を強化した。具体的には、保存のために受精卵を乗せるクライオトップの番号、それを複数収納するケーンの番号、タンク番号の3つで場所を確実に特定できるようにシステム管理している。「ユーザーの要望により今後、受精卵の個別管理や胚の取り違い強化のための認証管理機能を追加していく」(同)とし、将来的には産科の機能も組み込んでいく構想もあるという。