循環器内科医が語る、遠隔モニタリングの効用

浅草ハートクリニックの真中氏が講演

2016/06/22 10:02
近藤 寿成=スプール

 オンライン診療以外の遠隔医療、例えばペースメーカーを用いた遠隔モニタリングは現在どこまで進んでいるのか――。セミナー「遠隔診療は医療を変えるのか?」(2016年6月12日、主催:日経デジタルヘルス)では、循環器領域の遠隔医療に長年携わってきた浅草ハートクリニック院長の真中哲之氏が、その取り組みと有効性を語った。

浅草ハートクリニック 院長の真中哲之氏
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 遠隔医療は今、さまざまなジャンルで活発になっている。高血圧や糖尿病、ぜんそくなどの管理のみならず、イベント心電計や在宅医療に利用できるシステムも登場。テレラジオロジー(遠隔放射線画像診断支援)やテレパソロジー(遠隔病理診断)などにも広がっている。そうした中、ペースメーカーや植込み型の除細動器(ICD)についても、増加傾向にある利用者の疾病管理を効率化する仕組みとして「遠隔モニタリングシステム」が登場した。

 遠隔モニタリングシステムでは、無線LANを内蔵するペースメーカーやICDと、患者の自宅に設置された専用機器が自動交信して患者のバイタル情報をデータセンターに送信。問題がある場合は担当医にメールなどで通知が送られる。通知を受け取った医師が、適宜対応する形だ。

在宅で心不全モニタリング

 遠隔モニタリングシステムの役割は大きく2つあると、真中氏は話す。第1に「イベントの早期発見」。危険な不整脈や心不全など、命に関わるトラブルをいち早く察知する。第2に「外来受診の負担軽減、外来診療間隔の延長」。そもそも患者はあまり外来に来たがらないことから、極力外来に来なくても診療が済むようにするために利用する。

 この区分で見ると、ペースメーカーは故障やトラブルが少なく「外来受診の負担軽減、外来診療間隔の延長」のために利用する傾向が強い。対してICDは「イベントの早期発見」の目的が重視される。

 ペースメーカーやICDは不整脈への対応を主な目的とするが、患者の増加が見込まれる「心不全のモニタリングが次の段階」(真中氏)。特に、超高齢者の多い在宅患者に心不全患者が多いことから、在宅診療での需要が増加する見込みという。これに対応するために、胸郭インピーダンスモニタリングなどを用いた遠隔医療の重要性が増すと真中氏は指摘する。

 遠隔医療の課題については、まずは機械を苦手とする「患者の受け入れ」を挙げた。手間などを気にする「医療従事者の受け入れ」も必要という。このほか、医療費や個人情報保護、セキュリティーなどにも注意を払うべきと真中氏は話す。循環器領域における遠隔医療の役割には「安心感の向上」や「患者のQOL改善」があるが、重症患者が多いことから「生命予後の改善」も今後重要になるとした。