在宅で心不全モニタリング

 遠隔モニタリングシステムの役割は大きく2つあると、真中氏は話す。第1に「イベントの早期発見」。危険な不整脈や心不全など、命に関わるトラブルをいち早く察知する。第2に「外来受診の負担軽減、外来診療間隔の延長」。そもそも患者はあまり外来に来たがらないことから、極力外来に来なくても診療が済むようにするために利用する。

 この区分で見ると、ペースメーカーは故障やトラブルが少なく「外来受診の負担軽減、外来診療間隔の延長」のために利用する傾向が強い。対してICDは「イベントの早期発見」の目的が重視される。

 ペースメーカーやICDは不整脈への対応を主な目的とするが、患者の増加が見込まれる「心不全のモニタリングが次の段階」(真中氏)。特に、超高齢者の多い在宅患者に心不全患者が多いことから、在宅診療での需要が増加する見込みという。これに対応するために、胸郭インピーダンスモニタリングなどを用いた遠隔医療の重要性が増すと真中氏は指摘する。

 遠隔医療の課題については、まずは機械を苦手とする「患者の受け入れ」を挙げた。手間などを気にする「医療従事者の受け入れ」も必要という。このほか、医療費や個人情報保護、セキュリティーなどにも注意を払うべきと真中氏は話す。循環器領域における遠隔医療の役割には「安心感の向上」や「患者のQOL改善」があるが、重症患者が多いことから「生命予後の改善」も今後重要になるとした。