お茶の水内科の五十嵐氏
お茶の水内科の五十嵐氏
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 お茶の水内科 院長の五十嵐健祐氏は、セミナー「遠隔診療は医療を変えるのか?」(2016年6月12日、主催:日経デジタルヘルス)に登壇、いち早く遠隔診療への取り組みに着手した経験を踏まえた視点を交えて講演した。

 五十嵐氏はこれまでの遠隔診療に対する臨床経験から、「遠隔診療に向いている疾患、向いていない疾患」に対する考え方が変わったと語る。当初は「医療的な難易度」が高いか低いかが判断基準の一つと考えていたところがあったが、最近では「ユーザー対応的な難易度」が高いか低いかが重要な判断基準と考えるようになったという。「実際にやってみると、遠隔診療は患者の理解と協力がとても大事だと感じた」(五十嵐氏)ためだ。

 また、五十嵐氏は遠隔診療に対する多くの患者の反応を見てきた中で、「(遠隔診療)利用者の利便性は非常に高い。1度体験したら元に戻れないほど」と強調。遠隔診療普及への方向性は不可逆的なものだと見る。

 現時点における日本の遠隔診療は、医療機関の立場としては「採算は度外視で、利用者のロイヤルティーを飛躍的に向上させるツール」であると五十嵐氏は考える。一方で、ビジネスモデルとしては発展途上なところがあることから、「論文や臨床試験などから、遠隔診療が対面診療と比較しても劣ることなく有効であることを示していくことが必要だ」と臨床医としての使命感を見せた。