メドピアグループ メディプラットの林氏
メドピアグループ メディプラットの林氏
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 メドピアグループ メディプラット 代表取締役CEOの林光洋氏は、セミナー「遠隔診療は医療を変えるのか?」(2016年6月12日、主催:日経デジタルヘルス)に登壇、「遠隔診療、臨床現場へのインパクト ~メドピアが遠隔医療に参入するワケ~」と題して講演した。林氏は元DeNA 執行役員。同じく元DeNA 取締役会長の春田真氏とともに立ち上げたメディプラットが取り組む遠隔医療相談プラットフォーム「first call」について語った。

 メディプラットは2015年11月に設立、2016年2月にfirst callの試験運用を開始した。そこに目をつけたのが医師専用コミュニティーサイト「MedPeer」を運営するメドピア。2016年5月に株式交換によってメディプラットはメドピアのグループ会社となった。MedPeerのプラットフォームを生かし、今後first callの強化を図っていく。

 first callの誕生のきっかけは、春田氏がシリコンバレー駐在時に米国での遠隔診療サービスに触れたこと。「『日本でこういったサービスができないものか』と2人で話していた中で、2015年8月に厚生労働省の遠隔診療に関する通知があった。以降、弁護士、厚労省の方々と話し合いながらサービスを開始した」(林氏)。

 first callは、フリーアクセスが日常の日本において「かかりつけ医体制整備の支援」(林氏)を目的とする医師への相談サービス。テレビ電話がベースで、現在はパソコン版のみ提供する。医師の管理画面にはSOAP形式のカルテを付加するなど、専門的な画面構成を整えた。患者はサービスから医師のスケジュールを確認後に予約を入れ、15分1コマの相談を受けることができる。2016年6月12日現在はアルファ版のモニター期間中のため、1コマ500円の相談料としている。医師は内科、精神科、眼科、整形外科をそろえた。

 患者のネットワーク環境が均一でないため、初期は度重なる通信トラブルにも見舞われたが、通信テスト画面を設けて接続状況を改善した。運用の中から「LINEをはじめとするメッセンジャーアプリ、テキストベースでの相談ニーズが意外と高い」(林氏)ことも学んだ。これを受け、初回のみ無料のテキスト相談を始めた。

 ユニークなのは、「(リアルな)“場”の空気を共有していないがゆえに、医師が非常に丁寧に説明する。その姿勢は患者にも見受けられる」(林氏)という点。患者の満足度は概ね高く、中には医師へのお礼メッセージ機能を付加してくれないかとの声もあるという。よりカジュアルな対応策としてスマートフォン版を整備中だが、個人向けよりは企業の福利厚生の一環としての導入を視野に入れている。