パワー半導体の国際学会「ISPSD 2016」が2016年6月12~16日にチェコ・プラハで開催される。同学会をレポートする。
ISPSD 2016
2016年6月12~16日にチェコ・プラハで開催
目次
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「出力密度を1.57倍に」、三菱電機がモールド型モジュールで新構造
絶縁基板を不要に
三菱電機は、トランスファーモールド型のパワーモジュールの新構造を「ISPSD 2016」で発表した。従来構造に比べて、熱抵抗を半分以下にし、モジュールの出力密度を1.57倍にできるという。
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GaN素子をCMOSプロセスのSi素子に張り合わせ、X-FABなどが提案
ドイツX-FAB Semiconductor Foundries社らのグループは、GaNパワー素子と、CMOSプロセスで製造したSi素子を接合して集積する製造技術を、「ISPSD 2016」で発表した。同社は「Micro Transfer Printing」と呼ぶ。
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TSMCが「GaN on Si」素子の受託に本腰、ノーマリーオフの650V品も
台湾TSMCは製造受託サービスのロードマップや試作素子の特性などを「ISPSD 2016」で発表した。同社は、口径150mm(6インチ)のSi基板上にGaN層を形成する、いわゆる「GaN on Si(ガン・オン・シリコン)」でGaNトランジスタを製造する。
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ダイオードのターミネーション長を1/5以下に、富士電機などが新方法を提案
富士電機と中国Hong Kong University of Science and Technologyの研究グループは、ダイオードのエッジターミネーションの領域を小さくする新技術について、「ISPSD 2016」で明らかにした。従来のガードリングを設けるエッジターミネーションに比べて、エッジタ…
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双方向GaNパワー素子と駆動回路を約1ccのモジュールに封止
パナソニックが開発
パナソニックは、同社が開発した双方向スイッチング可能なGaNパワートランジスタと、同トランジスタのゲート駆動回路を収めたモジュール品を開発し、「ISPSD 2016」で発表した。モジュールの外形寸法は、25.5mm×12mm×3mmで、体積はおよそ1ccと小さい。
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「世界初」の双方向SiC MOSFET、京大とロームが試作
京都大学とロームの研究グループは、耐圧3kVの双方向SiC MOSFETを試作し、「ISPSD 2016」で発表した。同MOSFETの実現は「世界初」(同グループ)である。
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富士電機が低損失な新型IGBT、「シールドトレンチ」で実現
富士電機は、「シールドトレンチ」と呼ぶ構造を設けた新しいIGBTを開発し、「ISPSD 2016」で発表した。同構造によってミラー容量(帰還容量)成分を削減し、スイッチング損失を従来のIGBTに比べて小さくした。
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三菱電機、RC-IGBTで白物向けモジュールを30%小さく
プロセスコストも抑制
三菱電機グループ(メルコセミコンダクタエンジニアリングと三菱電機)は、白物家電向けの耐圧600Vの小型パワーモジュール「SLIMDIP」シリーズに搭載した新しい「RC-IGBT」について発表した。RC-IGBTは、IGBTとダイオードを1チップ化したもの。IGBTチップとダイオードチップを別々に用…
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「これは大きな変化」、日立が低損失な新構造のIGBT
サイドゲート構造を採用
日立製作所は、新しいIGBT構造を「ISPSD 2016」で発表した。同社従来品に比べて、スイッチング時の損失を低減できるのが特徴である。スイッチオン、スイッチオフする際に生じる電力損失を、いずれもおよそ3割削減できる。新構造を採用したIGBTを搭載した、耐圧1.7kVで定格電流1400Aのパワー…
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東芝がESD保護素子を約1/3に、0.13μmのアナログ用プロセスで
ESD耐量を4倍、ばらつきを1/12に
東芝は、電源ICに集積するESD(静電気放電)保護素子の小型化技術を、パワー半導体の国際学会「ISPSD 2016」で発表した。ESD耐量の指標の1つである人体モデル(HBM)で±2kVを満たす同素子の大きさを、従来に比べて約1/3(32%)にした。
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パナがGaNパワー素子の特性ばらつきを抑制、AlGaNの再成長で
パナソニックは、同社従来品に比べてGaNパワートランジスタの特性バラつきを抑制し、その成果を「ISPSD 2016」で発表した。しきい値電圧のばらつきを従来の1/3以下に、オン抵抗のばらつきを約1/3に抑えた。
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GaNやSiCの発表が増加、新しいSi IGBTも
パワー半導体の国際学会「ISPSD 2016」開幕
パワー半導体の国際会議「ISPSD 2016」がチェコ・プラハで2016年6月12日(現地時間)に開幕した。同会議では、100V以下の低耐圧のパワー素子から1kV以上の高耐圧のパワー素子まで、幅広い研究成果が集う。ISPSDは毎年1回、通常5~6月に開催されており、今年は、「GaNやSiCに関する発…