ホンダは2017年6月5~7日に開催した技術試乗会「Honda Meeting 2017」で、高速道路での先行車追従や車線維持、合流、追い越し、渋滞時の停止・停止保持・再発進が自動で可能な試験車両を公開した(図1)。

 最大の特徴は、まず、高精度地図データに基づき目的地までの最短ルートを自動で割り出して同ルート上を自動で走行できること。また、渋滞による停止保持時にはSAE(米自動車技術会)が定める「レベル3」の自動運転を実現していることである。

 レベル3では運転者が車両周囲を監視しないで済むため、運転者が視線を車内のモニターなどに向けること(アイズフリー)が可能になる。同社が実施した同試験車両のデモ走行では、渋滞による停止保持時にテレビ会議を実施してみせた。同社の説明員によれば、これらは2020年をメドに実用化を狙う技術という。

図1 高速道路における一部レベル3の自動運転を可能としたホンダの試験車両
図1 高速道路における一部レベル3の自動運転を可能としたホンダの試験車両
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 高精度地図データと目的地から割り出したルート上を自動で走行させるために利用しているのが、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)のアンテナである。同社の説明員によれば、同アンテナを用いることで「高速道路のどのレーンを走っているかというレベルまで自車位置を特定」できるようになっている。

 しかも、単に計画したルート上を自動で走行するだけではなく、「(同ルート上に)設定速度よりも遅いクルマがいるときは、自動で追い越しをかける」(同氏)。運転者がウインカーを倒すと隣接する車線の安全を確認した上で自動で車線変更をする市販車は既に存在しているが、今回の試験試験車両では、追い越しをかけるトリガーとなる操作を運転者が行う必要はない。