地図データを手掛けるゼンリンは、カー・ナビゲーション・システム(カーナビ)向けに提供している3次元(3D)の都市モデルデータを活用した車両開発のシミュレーション事例を「第25回 3D&バーチャル リアリティ展」(東京ビッグサイト、2017年6月21〜23日)で披露した(図1、2)。新車開発のシミュレーションで、建造物や道路状態など実際の都市に近い仮想空間を走行可能になる。自動運転のシミュレーションなど活用の幅が広い。

図1 ゼンリンが公開した3D都市モデルを用いたシミュレーション
図1 ゼンリンが公開した3D都市モデルを用いたシミュレーション
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図2 3D都市データで造ったJR新宿駅周辺
図2 3D都市データで造ったJR新宿駅周辺
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 すでに国内大手自動車メーカーがゼンリンの3D都市モデルデータを車両開発に用いているという。2013年ごろからカーナビで導入が始まり、2016年ごろから自動車メーカーが車両開発のシミュレーションに使い始めた。

 同社の説明員は「道路周辺の建造物に加えて、中央分離帯や白線などを形状や位置まで再現することで、開発車両が走行しているイメージを共有しやすくなる」と利点を語った。

 自動車メーカーは開発車両を設計データから3Dモデル化し、ゼンリンの3D都市を走らせる。運転者から見た車両内装や車外の風景、真上から見た車両外装など、さまざまな視点から走行中の開発車両を確認できる。