医療分野専用のクローズドネットワークを構想

 その上で石川氏は、「医療等分野専用クローズドネットワーク構想」について言及した。医療等ID、HPKIの運用をベースに、安全な医療連携や個人番号カードによる保険証のオンライン資格確認などを実現していくためのものである。

 同構想は、日医が2017年度概算要求要望の中で地域包括ケアシステムへの予算確保として示しているもの。厳格な機関認証を受けた医療機関や接続要件を満たしたアプリケーション事業者のみが接続するセキュリティーが確保された医療分野専用に閉じたネットワーク、公益性を担保した全国医療機関などをカバーする広域なネットワークとして構想している。石川氏は、「多職種連携でプライベートなSNSなどにも利用できるセキュアな環境を、各地にノードを設置して全国規模のネットワークとして構築していく」と述べた。

 この他、これまで日医が積極的に取り組んできた「ORCAプロジェクト」の現況と継続推進についても強調した。日医標準レセプトソフト(通称ORCA)は全国で1万5600施設が利用し、有床診療所にも確実に拡大。ORCA連携する電子カルテも30社を超えたことを紹介し、「15年にわたって取り組んできて、レセコンの市場価格を大幅に変えてきた」(石川氏)と自負した。

 今後さらに事業を発展させるため、地域経済活性化支援機構の支援の下、「日本医師会ORCA管理機構」を設立。「医療機関に(レセコン導入の)負担をしてもらわずとも利用できるよう、電子カルテメーカーにレセコンソフトを提供していく」(石川氏)とした。