「保険事業ID」も検討

 石川氏はまず、改正個人情報保護法が2017年に全面施行されることを受け、安全なネットワークとプライバシー保護を確立してくことを強調した。「医療・介護情報連携の推進と医療情報ICT化の共通基盤の構築が、我々に課された役割だ」(同氏)。

日本医師会の石川氏
日本医師会の石川氏
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 その要素の1つが、医療等ID制度の確立と運用である。マイナンバー制度のインフラをベースにした医療等IDの仕組みの継続検討・システム開発を行い、「2018年度中に段階的に医療連携や保険証資格確認に利用していき、2019年には本格的に運用開始する」(石川氏)と説明した。

 また、医療等IDの普及拡大に合わせ、石川氏はその応用として「医療等IDをモデファイした保険事業IDを検討している」ことを明らかにした。現在、乳児健診から高齢者健診まで、さまざまな世代での健診事業が行われているが、実施主体や所轄官庁部局が異なることから、健診データの一元管理はなされていない。「生涯にわたる健診データの保存・利用を促進するため、医療等IDを健診用IDとして応用し、きちんと一元的に統合することができないか検討している」(同氏)とした。

 電子化された医療情報の真正性・安全性を担保するために、HPKI事業の発展を推進することも強調。電子認証・電子署名に必要となる医師資格証カードは、2016年2月時点で申請・発行件数は2500件程度だったが、「この数カ月で急速に伸びており、5000件に達しようとしている」(石川氏)という。電子化された診療情報提供書や主治医意見書などの発行に診療報酬点数が付くことになったことや、日医が発行手数料・更新料を改定したことなどが奏功した格好だ。

 実際に、しまね医療情報ネットワーク「まめネット」で電子化された紹介状のやり取りに診療報酬を付けて実施運用されていることや、山口県の山陽小野田市医師会では主治医意見書にも電子署名を付して提供が始まっていることを紹介した。