開会式の様子
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会場では「日経デジタルヘルス特別編集版 2016 夏」を配布中
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 第20回 日本医療情報学会春季学術大会が2016年6月2日、島根県松江市のくにびきメッセで開幕した。今大会のテーマは「次世代医療ICT基盤としての人工知能」である。

 6月2日のチュートリアルに続き、実質的な開幕となる3日午前には、大会長講演として島根大学医学部 教授の津本周作氏が登壇。「AIの2000年以降の変化」と題して講演した。

 医療情報学会だけでなく、むしろ人工知能学会に軸足を置いてきた津本氏は、今回の大会の目的を「医療情報と人工知能に橋を架けること」と位置付ける。どのような人工知能技術が医療に応用できるのか、応用されるべきかについて、両分野の研究者で共に議論する場を設けたいと語る(関連記事)

 大会長講演では、医療と人工知能の距離感の変遷を説明。1970年代に開発された「エキスパートシステムMycin」(エキスパートシステムは、専門家に近い判断を下すことができる人工知能システムのこと)をキッカケに、以前は医療と人工知能は近い関係にあったものの、エキスパートシステムの限界などにより、いったん医療と人工知能の間には距離ができてしまったと指摘。

 しかし、人工知能技術の進展に加え、電子カルテの普及によりデータ入力の手間の削減やデータベースの蓄積が進み、インターネット環境の充実も後押しとなり、人工知能の新たな医療応用の時代に突入したと語った。

 こうした状況を踏まえ、医療情報学会と人工知能学会の中にそれぞれ、人工知能の医療応用を検討する研究会を発足し、2015年9月には第1回となる合同研究会を開催したことを報告した(関連記事)