電子回路製造業の業界団体である日本電子回路工業会(JPCA)が開催する展示会。それが「JPCA Show」こと「国際電子回路産業展」だ。第47回となる今回、主催者テーマ展示として新規アプリケーションを模索する電子回路製造業の姿が展示されていた。予想外の応用事例の一部を紹介しよう。

 一番大きく目立っていたのは、フレキシブル基板などの材料としてメジャーなポリイミドを使った織物。福島県双葉町の装飾古墳「清戸迫横穴」の壁画を再現し織り上げたものだ。黄色い部分は元のポリイミドの色、赤い部分は彩色してある。ポリイミドはキラキラと黄金色に光って見えており、見学者が「金みたいに見えるけど違うんだよねー」と話していた。同古墳は国内の彩色壁画の北限とされる古墳で、福島第一原子力発電所の事故による帰還困難区域にあり、保全活動が話題となっている。

作品名は「七重の渦文は 何を」。作品協力/制作は染色家の矢村璋子氏、ポリイミド提供は日本メクトロン。筆者の場合、ポリイミドと言えば耐熱性など特性ばかりが気になって色に着目したことがなかったことに気付いた。
作品名は「七重の渦文は 何を」。作品協力/制作は染色家の矢村璋子氏、ポリイミド提供は日本メクトロン。筆者の場合、ポリイミドと言えば耐熱性など特性ばかりが気になって色に着目したことがなかったことに気付いた。
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 プリント基板製作技術の精密加工がウケて別用途を生み出したというのが、浜松基板工業だ。同社が作り出したのは、ガラスエポキシ樹脂を使った革細工のための補助定規。端材をNCマシンで加工して定規を作り始めたところ、正確さを必要とする革細工に欠かせないとヒットしたらしい。とは言っても、同社の本業はやはりプリント基板製造のようだ(同社ホームページ)。

浜松基板工業の革細工のためのガラスエポキシ樹脂製補助定規。確かに精度が高そうだ。
浜松基板工業の革細工のためのガラスエポキシ樹脂製補助定規。確かに精度が高そうだ。
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