2017年5月30日に全面施行となった「改正個人情報保護法」。同法は、医療現場にどのような影響をもたらすのか――。

 そもそも改正個人情報保護法では、本人の人種や信条、社会的身分、病歴、犯罪被害を受けた事実および前科・前歴が「要配慮個人情報」となった。また、政令によって、身体障害、知的障害、精神障害など個人情報保護委員会で定める心身の機能障害があること、健康診断やその他の検査結果、これらの結果に基づいて医療従事者によって改善のための指導・診療・調剤が行われたことなどが「要配慮情報」という扱いになった。

 要配慮個人情報は原則として、本人の同意(オプトイン)を得ない取得が禁止となる。同時に、利用目的の変更が認められない、第三者提供のオプトアウトが使えない、といった点がある。その上で、利用目的の制限の除外や、第三者提供の特例対象からの除外などが盛り込まれている。

 これらは、医療現場での情報活用にどうかかわってくるのか。例えば、(1)要配慮個人情報に該当する患者の情報を取得し、医療連携などで利用するときはどうなるのか、(2)学術研究や学会での症例報告はどう取り扱うべきなのか、(3)創薬や医療機器開発のための研究を目的とした医療情報活用を可能にした「次世代医療基盤法」との関連は…。医療情報システム開発センター 理事長の山本隆一氏は、「第21回 日本医療情報学会春季学術大会」(2017年6月1~3日、福井市フェニックス・プラザ)のチュートリアルや日本医師会との共同企画セッションに登壇し、その概要を説明した。

講演する山本氏
講演する山本氏
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 山本氏はまず、改正個人情報保護法に対しては、「全体として、患者などの個人情報が確実に保護されることが期待できる」と語る。また、「診療現場での通常の医療を行うことに関しては、過剰な負担もないと評価できる」とした。