研究担当者がポスターセッションで発表
研究担当者がポスターセッションで発表
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 中部大学は、環境発電(エナジーハーベスティング)を用いることで、電池なしで連続動作するウエアラブルバイタルセンサーを提案し、「第11回 ITヘルスケア学会学術大会」(2017年5月27~28日、名古屋市)のポスターセッションで発表した。着るだけで心電や心拍を測れる機能繊維素材として、東レとNTT、NTTドコモが共同開発した「hitoe(ヒトエ)」を利用。心電の測定や伝送を低消費電力化する制御回路を開発するとともに、環境発電デバイスをその制御回路の電源とする方式を提案した。

 中部大学教授の川島信氏を中心とする研究グループの成果。同グループは、ウエアラブルバイタルセンサーを用いた「ヘルスケアネットワーク」を提唱している。センサーで取得したバイタル情報をスマートフォンなどに無線伝送し、これをネットワーク経由でクラウドサーバーに集約。その情報を病院や介護施設などと共有する仕組みだ。今回は、その構成要素となる低消費電力のウエアラブルバイタルセンサーを提案した。

 このセンサーでは、hitoeで取得した心電信号の増幅回路やマイコン、Bluetoothトランシーバーなどから成る制御回路に、ノーマリーオフ動作やバースト伝送方式などを導入。平均消費電力を2.1mWに抑えた。これにより、光と熱を用いた2種類の環境発電デバイスで電力をまかなえるようにしている。

 こうして計測した心電データから、深層学習(ディープラーニング)によって不整脈などの異常を検出する手法も開発中だ。現状では、学習に使うデータベースに疾患ごとのデータが十分に含まれていないことなどから、高い識別精度が得られていないという。疾患ごとのデータを十分に学習させることで、この精度を改善できると研究グループは見込んでいる。