• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

HOMEエレクトロニクス電子デバイスSID 2017 > ソニーの有機ELマイクロディスプレー、駆動技術を磨く

SID 2017

ソニーの有機ELマイクロディスプレー、駆動技術を磨く

ディスプレー技術者が見たSIDのシンポジウム

  • 鵜飼 育弘=Ukai Display Device Institute
  • 2017/06/15 05:00
  • 1/5ページ

1. はじめに

 ディスプレー分野で世界最大の学会「SID(Society for Information Display)」が、米国ロサンゼルスで2017年5月21日~26日に開催された。今年も例年同様に「Display Week」と称して、展示会やセミナーなどを含めた全プログラムが6日間にわたって行われた。

 シンポジウムでは、81のテクニカルセッションで300件の口頭発表と250件のポスター発表があった。4回にわたって、筆者が興味を持った発表を紹介する。第1回は、ソニーの有機ELマイクロディスプレーについて報告する。この論文(Kei Kimura, et al.”New pixel driving circuit using self-discharging compensation method for high resolution OLED micro displays on a silicon backplane”)はDistinguished Paperに選ばれた。また、Expanded PaperとしてJournal of the SID 25/3 pp.167-176 (2017)に掲載されている。

2. 有機ELマイクロディスプレーの特徴と課題

 単結晶Siのバックプレーン上に形成したアクティブマトリクス有機ELマイクロディスプレー「M-OLED」は、有機ELの特徴とマイクロディスプレーの特徴を併せ持つ(図1)。既に電子ビューファインダー(EVF)としてミラーレスカメラに搭載されており、ヘッドマウントディスプレー(HMD)用としても高い評価を得ている。

図1 有機ELマイクロディスプレーの特徴
(ソニーの資料)
[画像のクリックで拡大表示]

 また、M-OLEDは高コントラスト比や高速応答に基づく優れた画質のために、拡張現実感(AR)メガネ向けの技術として注目を集めている。ARメガネ用途のディスプレーには、より高い解像度が強く求められている。

 図2に、M-OLEDの断面構造の概略図を示す。カラー表示を実現するために、カラーフィルター構造を有するトップエミッション白色有機EL方式を採用した。単結晶Si基板上に画素駆動回路およびアノード電極を形成する。その上に、白色有機ELおよびカソード電極を形成している。

図2 有機ELマイクロディスプレーの課題
(ソニーの資料)
[画像のクリックで拡大表示]

 M-OLEDでは、画素回路をさらに微細化することにより、さらなる解像度の向上が可能になる。しかし、図2に示すように、画素回路をさらに微細化すると、画素ごとの輝度ばらつきが大きくなり、輝度均一性が低下する。輝度均一性に影響を与える主要な要因は、各画素回路内の駆動トランジスタのしきい値電圧(VTH)変動による放出電流の変動である。画素回路を微細化するためのトランジスタサイズを小さくすると、VTHばらつきが大きくなる。画素を微細化しても輝度の均一性を向上できるM-OLEDを提供することが望ましい。

 従って、良好な輝度均一性を得るためには、電流変動を補償する必要がある。画素回路を単純化するために、TFT(薄膜トランジスタ)で駆動される有機ELディスプレーのための外部補償方法が提案されている。しかし、M-OLEDでは放出電流の変化を感知することが困難なため、外部補償方法の適用は難しい。

 従って、放出電流の変動は、各画素回路自体で内部的に補償しなければならない。補償方式の画素回路を実現するためには、各画素回路にトランジスタとキャパシタを追加する必要がある。一方、トランジスタやキャパシタを追加することによって、解像度の向上が制限される可能性がある。このため、高解像度表示のための追加要素を抑制することが望ましい。

 ソニーは今回の発表で、自己放電補償方式を用いた新しい4T2C画素駆動回路を提案した。

おすすめ

あなたにおすすめ