JDIの透明ディスプレーのデモ(1)
JDIの透明ディスプレーのデモ(1)
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JDIの透明ディスプレーのデモ(2)
JDIの透明ディスプレーのデモ(2)
4枚を縦横に並べている。
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 ジャパンディスプレイ(JDI)は2017年1月に発表した透明ディスプレーの技術の詳細を、学会「Society for Information Display(SID)」(2017年5月21~26日、米国ロサンゼルス)で発表した(論文番号79.4)。透明ディスプレーは、表示オフ時は透明なパネルで、オンにするとパネル上に画像が表示されるもの。JDIが開発した透明ディスプレーは、光透過率が80%と「従来の1.5倍以上」(同社)と高いのが特徴である。これにより、パネル越しの背景をクリアに見ることができる(関連記事)。

 透明ディスプレーには、主に有機ELと液晶の2種類がある。バックライトが不要な有機ELは透明パネルの実現に向くが、画素の開口率が低いことから、光透過率は「45%にとどまっていた」(JDI)という。

 一方、液晶にはさらに多くの課題があった。画素の開口率は有機ELよりも高いが、有機ELでは不要な光透過の妨げになる偏光板やカラーフィルターが必要なため、現在量産されている液晶パネルの構造では、光透過率はわずか10%以下である。カラーフィルターを不要にするカラーフィールドシーケンシャル(CFS)方式が提案されているが、それでも光透過率は30%にとどまる。

 しかも、従来型の液晶の場合はシステム全体を箱形にして、前面にパネルを設置し、後方の天井や側面部分などに光源を設ける必要があった。このため、全体を板のように薄くすることができなかった。