解熱鎮痛薬「バファリン」の箱にスマートフォンをかざすと、画面にアニメキャラクターが飛び出してきた。何やら薬に含まれる成分の説明をしてくれるようだ――。これは、ライオンが手掛けるARを活用したサービスである。同社は、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を応用した取り組みについて紹介した。
冒頭で紹介したサービスは、バファリンシリーズの医薬品について消費者に正しく理解してもらうことを目的としてARを活用した事例である。バファリンシリーズは、目的や用途に合わせて「バファリンA」や「バファリンプレミアム」、「バファリンルナi」などの多様な商品が用意されている。それぞれ含まれている成分が異なるが、「消費者に正しく理解してもらうことが難しかった」と同社 コミュニケーションデザイン部 CXプランニング室の阿曾忍氏は話す。
そこで、キャラクターがメッセージを発信することで医薬品の情報を理解してもらおうと考えた。具体的には、専用アプリ「BUFFERIN OF PRISM」をダウンロードしたスマートフォンをバファリンの箱にかざすと、パッケージの文字を認識してどの商品を手に取っているかを検知する。検知した後は、商品に含まれる成分になりきったアニメ「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」のキャラクターがスマートフォンの画面上に現れ、成分について説明してくれる。画面に映したバファリンの箱にキャラクターが座るなどARならではの臨場感が味わえる。
さらに、医薬品の流通関係者に対しては、VRを活用して情報提供をしようと考えた。商談会などで商品について独自の機能や他社商品との違いを文字やイラストで説明しても「イメージしにくく、記憶に残りづらかった」(阿曾氏)ためである。
対象としたのは、開発に10年の期間を費やしたという目薬「スマイルザメディカルA」。スマイルザメディカルAに含まれるビタミンAの視点に立って、目に浸透していく体験ができるVRコンテンツを作成した。商談会などで流通関係者に体験してもらったところ、「分かりやすい」という反響があったという。