ロームは、自己消費電流が180nA(標準値)と極めて低い降圧型DC-DCコンバーターIC「BD70522GUL」を開発し、「TECHNO-FRONTIER 2017」(2017年4月19~21日、幕張メッセ)で参考出展した(図1)。サンプル出荷は2017年7月に開始する予定。量産は、2017年12月に始める計画だ。

図1 自己消費電流が低い降圧型DC-DCコンバーターICの展示パネル。
図1 自己消費電流が低い降圧型DC-DCコンバーターICの展示パネル。
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 同社によると、「DC-DCコンバーターICの自己消費電流としては世界(業界)で最も低い」という。このため、ウエアラブル機器などをコイン型電池で10年間駆動したり、室内の低照度の照明下において太陽電池で発電してIoTセンサー機器を動かしたりすることが可能になるという。ウエアラブル機器やIoTセンサー機器のほか、エナジーハーベスティング対応機器やセキュリティー機器などに向ける。

 フィードバックループの制御は、ヒステリシス方式である。具体的には、ボトム検出のオン時間固定方式だ。同期整流方式を採用しており、スイッチング素子はハイサイドとローサイドのいずれも集積した。自己消費電流を削減できた理由は、「超軽負荷時における出力電圧の検出方法と、それに応じたスイッチング波形の打ち方にある」(同社の説明員)という。

 つまり、超軽負荷時には、基準電圧源や制御/監視回路などをできる限り停止させるわけだ。ただし、あまり長期間停止させてしまうと、出力電圧のリップルが大きくなりすぎてしまう。この問題に対しては、「スイッチング波形の打ち方の工夫で、出力リップル電圧は実用レベルに抑えた」(同社の説明員)としている。

 入力電圧範囲は+2.5〜5.5V。出力電圧は、+1.2Vと+1.35V、+1.5V、+1.8V、+2.0V、+2.5V、+2.8V、+3.0V、+3.2V、+3.3Vの中から選択できる。最大出力電流は500mA。変換効率は、出力電流が10μAと低いケースでも最大90%を確保できるという。パッケージは、外形寸法が1.76mm×1.56mm×0.57mmと小さい9端子WLCSPである。