STマイクロエレクトロニクスは、「TECHNO-FRONTIER 2017」(2017年4月19~21日、幕張メッセ)にブースを構え、中長距離無線通信で注目のLoRaWAN対応の無線通信モジュールおよびSigfox対応の無線通信モジュールなどを展示した。どちらのモジュールも、日本での公開は初めてだという。

STマイクロのブースで並んでいるLoRaWANのコーナー(左)とSigfoxのコーナー(右)。日経テクノロジーオンラインが撮影。奥の説明板はSTマイクロのデータ。
STマイクロのブースで並んでいるLoRaWANのコーナー(左)とSigfoxのコーナー(右)。日経テクノロジーオンラインが撮影。奥の説明板はSTマイクロのデータ。
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 LoRaWANとSigfoxを紹介するコーナーは隣り合わせに並んでいる。ブースの中央に立って、向かって左手にあるのがLoRaWAN、右手にあるのがSigfoxである。左手のLoRaWANのコーナーを担当する説明員によれば、LoRaWANは米国で電力メーターの検針作業の効率化を狙って策定された無線通信規格で、15k~20kmと通信距離が長いことが最大の特徴。日本ではビル1棟の無線通信、工場1棟の無線通信、農場の無線通信などで注目率が高いという。

 そのLoRaWANのコーナーで最も目に付く場所には、LoRaWAN評価用のSTM32開発ボードが置かれている。STM32は伊仏合弁STMicroelectronics社のARM Cortex-MコアベースMCU製品の総称で、今回の開発ボードにも同MCUが含まれる。LoRaWAN評価用のSTM32開発ボードは「STM32 LoRa Discovery kit」というシリーズ名で、その中でメインの製品となるのが「B-L072Z-LRWAN1」(価格は46.50米ドル)である(関連ニュースリリース1の日本語版)。

手前が「STM32 LoRa Discovery kit」のメインの製品である「B-L072Z-LRWAN1」。日経テクノロジーオンラインが撮影。
手前が「STM32 LoRa Discovery kit」のメインの製品である「B-L072Z-LRWAN1」。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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 この開発ボードには、村田製作所のLoRaWAN規格対応の無線通信モジュール「CMWX1ZZABZ-078」などが実装されている(関連記事:村田製作所、12.5mm×11.6mmのLoRaWANモジュール)。そのCMWX1ZZABZ-078は、Cortex-M0+ベースで低消費電力が特徴のMCU「STM32L072CZ」や米Semtech社のRFトランシーバーIC「SX127x」などを搭載する。

 ブースでは、開発ボードのB-L072Z-LRWAN1の後ろには、CMWX1ZZABZ-078のようなLoRaWAN規格対応の無線通信モジュールが展示されていた。いずれも、STM32マイコンの中でも低消費電力がウリモノの製品(Lシリーズ)が搭載されているとのことである。STMicroはLシリーズの中でCortex-M4Fをベースとする「STML4シリーズ」(関連記事:STMicro、遮断モード時の消費電流が30nAと低いARM Cortex-M4F MCUを発売)の新製品として、「STM32L496」と「STM32L4A6」を2017年3月上旬に発表している(関連ニュースリリース2の日本語版)。2つの新製品は既存製品よりメモリー容量を増やしたり(最大1Mバイトのフラッシュメモリーを搭載)、これまで上位製品にしか使われなかったグラフィックスアクセラレーター「Chrom-ART Accelerator」を搭載するなどした。