FAST 3D Camera
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MAGNETOM Vida
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 「医用画像診断ではこれまで、精度や分解能、撮影速度に軸足を置いていた。今後は患者一人ひとりの性別や体型、生活習慣などの違いを考慮して撮影条件を設定し、より正確な診断や治療効果の定量化を実現したい」。シーメンスヘルスケア 執行役員 ダイアグノスティックイメージング事業本部 事業本部長の黒木慎也氏はこう話す。同社はプレシジョンメディスン(個別化医療)の推進をうたい、「2018国際医用画像総合展(ITEM 2018)」でも関連製品をアピールした(関連記事)。

 人工知能(AI)を搭載したカメラが、X線CT装置の撮影位置を自動最適化する――。お披露目した「FAST 3D Camera」はそんな技術だ。撮影時のワークフロー改善や被曝量低減、安全性向上などの効果を見込み、国内では2018年4月からX線CT装置の一部機種に搭載した。

 FAST 3D Cameraは、X線CT装置の寝台を上方から捉える3Dカメラ。赤外線で奥行き方向の情報を捉えることができ、AIも搭載した。寝台に寝た患者の体の向きや大きさ、厚さを自動認識し、最適な位置で撮影が行えるよう寝台の高さなどを調節する。登録情報と、実際に患者が寝た向きが異なる場合にはアラートを出すなどの安全機能も備える。まずはX線CT装置「SOMATOM Edge Plus」に搭載し、搭載機種を順次増やしていく。

 2017年11月に国内で発売した3T(テスラ)MRI「MAGNETOM Vida」には、被検者の生理学的・身体的特性による撮影ばらつきを抑える技術「BioMatrix Technology」を搭載した。「撮影条件に応じて患者が(息止めなどで)装置側に合わせるのではなく、装置が患者に合わせる」(シーメンスヘルスケア)というコンセプトに基づくもので、大きく2つのセンシング技術からなる。

 まず、寝台のコイルに内蔵したセンサーで被検者の呼吸状態を捉え、呼吸で動く臓器に対する撮影条件を自動最適化する。さらに、シムコイルと呼ぶコイルを寝台の頭部固定箇所に搭載し、頭頸部撮影時に被検者の骨格の影響で磁場が乱れる現象を抑えた。