JIRA会長の小松氏
JIRA会長の小松氏
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 「医療のグローバル市場を眺めたとき、(国内医療機器メーカーは)画像診断だけでは成り立っていかない。世界で戦うための資本統合は起こるだろうし、起こらなければ世界では戦えない」――。

 日本画像医療システム工業会(JIRA)会長の小松研一氏は、JIRAが「2016 国際医用画像総合展(ITEM 2016)」(2016年4月15~17日、パシフィコ横浜)で開催した記者会見でこう語った。国内医療機器業界における「大きな資本の離合集散に工業会として注目し、見守りたい」(同氏)。

 小松氏は会見の冒頭、2016年は国内医療機器業界にとって「大きな変革のうねりに入っていく変曲点になる」と話した(関連記事)。“変革のうねり”を予感させる動きの1つに挙げたのが「大きな資本の移動」(同氏)。キヤノンによる東芝メディカルシステムズ買収を意識したと思わせる発言だ。同氏は2008~2010年に東芝メディカル社長を務めた。

 600兆円と試算される医療の世界市場のうち「医療機器は20兆円ほどで、500兆円以上を医療サービスが占める。だが今後は、医療のICT化が進み600兆円のうちの大きな部分をソフトウエアやシステムが占めるようになる」(小松氏)。同氏はこうした動きが、ソフトウエアやシステムの覇権をめぐる、医療機器業界の再編につながるとにらむ。

 再編の幕開けを告げる「キヤノンによる東芝メディカル買収をどう見ているか」。こう問われた小松氏は「個別企業に関する論評は控えたい」とだけコメントした。