ロームは、2016年4月25~29日にドイツ・ハノーバーで開催した「Hannover Messe(ハノーバーメッセ) 2016」に出展した。同社がハノーバーメッセに出展するのは初めてという。出展の理由と、今後の欧州での販売戦略をローム 取締役 LSI商品開発本部 本部長の飯田淳氏に聞いた。(聞き手は松元 則雄)

―― 今年のハノーバーメッセは「Industrie 4.0」に関する展示が目立ちます。御社がIndustrie 4.0で果たす役割とは何でしょうか。

 ご存知の通り、Industrie 4.0はドイツの国策的な要素が強いので、彼ら(ドイツ)から見て外国企業であるロームがIndustrie 4.0の取り組みに参入するのは難しい。特に我々のような部品メーカーではそれが顕著だ。

 その代わりではないが、我々は米国のIndustrial Internet Consortium(IIC)の一員になっている。米国のIICとドイツのIndustrie 4.0は一般に似ていると思われがちだが、大きく違う部分がある。まず主幹が違う。IICの場合は米General Electric社や米Cisco Systems社などが主導し、どちらかといえば企業色が強い。一方で、Industrie 4.0はドイツ政府が主導している。企業が中心となるIICの方が日系企業に対して開放的である。例えば、IICはテストベッドなどの認証試験に参加しやすい。一方、ドイツ政府が主導するIndustrie 4.0ではそれが難しい。

 Industrie 4.0と似た取り組みは、日本でも各社が進めいている、例えば、三菱電機の「e-F@ctory」などはIndustrie 4.0と同じコンセプトである。我々のような部品メーカーに求められるのは“どこでも使える”こと、つまり、IICでも、Industrie 4.0でも、e-F@ctoryでもロームの部品が利用できることだろう。

 例えば、センサーはIICとIndustrie 4.0、どちらの取り組みでも必要になる。そこでロームの製品をユーザーに使ってもらえるように、ハノーバーメッセのような展示会でのプロモーションが重要になる。

図1 ローム 取締役の飯田淳氏
図1 ローム 取締役の飯田淳氏
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