世界最大規模の産業技術の展示会「Hannover Messe 2016」が、ドイツ時間2016年4月25日午前9時に開幕する。「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」旋風の中で昨年は“傍観者”の感が否めなかった日本企業だが、今年は“主役”とまではいかずとも、まずは舞台に上がろうという機運が高まっている。

「スマートマニュファクチュアリング」の事業化を宣言するコニカミノルタ代表執行役社長の山名昌衛氏
「スマートマニュファクチュアリング」の事業化を宣言するコニカミノルタ代表執行役社長の山名昌衛氏
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 例えば、コニカミノルタは「デジタルマニュファクチュアリング」と呼ぶソリューションを出展する(関連記事)。主な展示内容は、メガネ型ディスプレーや外観可視化システム、情報可視化ツールなどIoT(Internet of Things)技術を活用したものだ。同社は2015年に本格稼働したマレーシア工場でこれらの技術を段階的に導入・実証してきたが、今後は他社に外販する新事業として推進する方針を打ち出している。Hannover Messeへの出展は「パートナーを探す」(同社代表執行役社長の山名昌衛氏)目的もあるという。

 9年ぶりの出展を決めたのは、オムロンだ(関連記事)。その同社が特に力を注ぐ展示は「ロボット」である。ロボットのイメージはそれほど強くない同社だが、2015年に産業用ロボットメーカーの米Adept Technology社を買収するなど、ここ数年ロボット分野の強化を進めてきた(関連記事)。今回の出展では、Adept社のロボットや「CEATEC JAPAN 2015」でも展示した「卓球ロボット」などで技術力をアピールする。

「CEATEC JAPAN 2015」に出展したときの卓球ロボット
「CEATEC JAPAN 2015」に出展したときの卓球ロボット
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 Hannover Messeと直接の関係はないが、最近はスマート工場に関する発表も相次いだ。デンソーは、圧倒的な生産性を誇る「ダントツ工場」の構築に向けてIoT活用を推進し、2020年までに世界130工場を「つなげる」構想を明らかにした(関連記事)。ファナックも、工場の機械やセンサーをネットワークに接続して生産を最適化するためのプラットフォーム「FANUC Intelligent Edge Link and Drive(FIELD) system」を発表。2016年秋ごろの市場投入を目指す(関連記事関連記事)。

デンソーがIoT活用で実現を目指すこと
デンソーがIoT活用で実現を目指すこと
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FIELD systemを活用したロボットのデモ
FIELD systemを活用したロボットのデモ
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 日本は、スマート工場の分野でドイツや米国に後れを取っているといわれてきた。Hannover Messeを目前にして動きが活発になっているのは、「反撃の狼煙(のろし)」とも見える。