――中国のEV市場が急成長している。どのように分析しているか。

 中国のEV市場は、主に政府が主導して成長を促している。ディーゼル車の状況が参考になる。欧州は販売車両の50%はディーゼル車だ。それが、米国や日本では同じ自動車メーカーでもディーゼル車がほとんど売れていない。この違いを生んだのは規制だ。つまり、政府が育て行きたい技術の種類で状況は大きく変わってくるのである。

 中国は、30万台近いEVの市場になった。電池コストなどを削減して車両価格を抑えていけば、EVを求める声はさらに増えていくだろう。補助金の適用はしばらく続き、中国は必ず巨大なEV市場になっていく。それはHEVではない。大気汚染が問題になる中で、EVは非常に重要な技術なのだ。当社は中央政府の方針に沿ってやっていく。

――他社に先駆けてEVを推進してきた日産が、中国では地場の自動車メーカーに負けている。

 確かに、中国に投入したEV(e30)が売れていない。理由は明確で、高すぎるのだ。(e30の)航続距離が消費者の望むほど十分に長くないことも要因だろう。今、中国で売れているEVは、当社のe30よりも価格が25%も低い車両だ。航続距離も長い。だから、日産としてもEVの価格を下げ、航続距離を広げないといけない。こうした安価なEVを我々は持っていない。

「リーフ」ベースのEV「Venucia e30」
「リーフ」ベースのEV「Venucia e30」
[画像のクリックで拡大表示]

 だが、間違った印象を持たないでほしい。重要なのは市場に付いていくことだ。我々の製品を市場のニーズに合わせる必要がある。今の販売状況には満足していないが、どのようなところに課題があるのか考え、中国の消費者が求めるEVへの要求をしっかり見極めていく。