SCEの伊藤氏
SCEの伊藤氏
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 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は「GDC 2016」の開催に合わせて、VR(仮想現実感)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「PlayStation(PS) VR」の価格を明らかにした。そのイベント会場で399米ドル(欧州は399ユーロ、日本は4万4980円)という価格を発表すると、競合他社のVR用HMDに比べて安価なことから、会場からは歓声が上がった(関連記事)。ただし、発売時期は当初の予定だった2016年上期から同年10月にずれた。PS VRの価格や発売時期、今後の事業戦略などについて、同社EVPの伊藤雅康氏に話を聞いた。(聞き手は根津 禎=日経エレクトロニクス)

――はじめから399米ドルという価格を目標にしてきたのか。あるいは、他社のVR用HMDの価格の影響を受けたのか(米Oculusの「Oculus Rift」が599米ドル、台湾HTC社の「Vive」が799米ドル)

 他社の状況は関係なく、当初から399米ドルを目標にしてきた。ゲーム機本体の価格(PS4は最初399米ドル、現在は349米ドル)に比べてあまりに高いとあまり売れないと考えた。399米ドルというのは、プレイステーションにとって「マジックプライス」に相当する。これまでのプレイステーションは価格が399米ドルになると、大幅に販売台数を伸ばし、一気に普及した。そういうこともあり、今回のような価格になった。

――PS VR単体の販売では利益が出ていない“逆ザヤ”状態にはならないのか。

 そんなことはない。きちんと単体で利益が出る。