ロボットがMRIを撮り、画像診断して手術を補助する――。「Medicine 4.0」により、そんな日が来るかもしれない。2016年3月9日に開催されたセミナー「ロボット新産業サミット2016」(2016年3月9日、主催:日経Robotics/日経デジタルヘルス)のデジタルヘルストラックに登壇した東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授の村垣善浩氏は「ロボット化する手術室 ~第4次医療革命『Medicine 4.0』、始まる~」と題して講演した。

講演する村垣氏
講演する村垣氏
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 Medicine 4.0は、同研究所 教授の伊関洋氏が提唱したコンセプト。産業分野で提唱される「Industry 4.0(第四次産業革命)」の医療版だ。Industry 4.0では、センサーによる情報収集とコンピューターによる分析を用いて自律的に動作する生産システムを目指す。Medicine 4.0では同様に、情報の収集と分析を外科医療に活用する。

 従来、手術室で使う各種の医療機器はスタンドアローンで動作し、機器間で情報を連携させたり共有させたりすることは基本的になかった。これに対し村垣氏らは、手術室全体を1つの医療機器として捉え、手術室内でやりとりされるあらゆる情報を機器間で共有し活用することに挑む。こうしたプラットフォームを同氏らは「SCOT(Smart Cyber Operating Theater)」と名付けている。

 従来、手術中のさまざまな情報は“術者の頭の中”で整理されていた。これに対しMedicine 4.0では、機器の情報やデータベースをシステムが統合的に分析し、術者にとって利用可能な形にする。これにより、より安全で確実な治療を実現する狙いがある。