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経産省主催ビジコン、これがベンチャー6社の最終プレゼン(page 4)

2017/03/07 08:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

スマホで精子をセルフチェック

 リクルートライフスタイル 新規事業開発担当の入澤諒氏は、スマートフォンを使って自宅で精子のセルフチェックができるキット「Seem(シーム)」を紹介した。専用の顕微鏡レンズとスマートフォンのフロントカメラを使い、精液を撮影して精子の濃度と運動率を測定するものだ(関連記事5)。

リクルートライフスタイルの入澤氏。手にしているのが「Seem」
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 日本では2016年、出生数が98万人となり100万人を初めて割った。背景の一つとされるのが不妊の増加だ。カップルの6組に1組が、不妊にかかわる何らかの検査や治療を受けた経験があるとされる。そしてWHO(世界保健機関)の調査によれば、不妊の原因の約半分は男性側にある。ところが「不妊の検査や治療を受けているのは大半が女性。ほとんどの男性は何の行動も起こしていない」と入澤氏は指摘する。

 妊活・不妊治療は一般に(1)基礎体温管理や排卵日予測による自己流妊活(2)婦人科受診を伴うタイミング法の実践(3)人工授精(4)体外受精、といった流れになる。この中で、男性が精液検査を受けるのは人工授精のタイミングであることが多く、「不妊治療への男性の参加が遅れがちだ」(入澤氏)。

 Seemの狙いは、自己流妊活の時期に女性が基礎体温管理や排卵日予測を行うのと並行して、男性が精子をセルフチェックする流れをつくること。これによりカップルが「不妊の期間を短縮し、負担の少ない治療で妊娠につなげられる」と入澤氏は見る。

 開発したキットを社内で試したところ、妊活中だが精子のいない社員がいることが判明。医療機関で先天的な無精子症と診断されたが、精巣から精子を直接回収できることが分かり、半年後にパートナーの妊娠につながったという。テスト販売時のアンケート調査では男性の行動変容につながることが確かめられ、女性からも「これならパートナーに勧められる」と好評だったという。

 キットを拡販するだけでなく「学会や自治体と連携し、男性不妊そのものの啓蒙に力を入れたい」と入澤氏は話している。

「後悔のない医療」のために

 トリを務めたのは、オンライン病気事典「MEDLEY」や遠隔診療サービス「CLINICS」を手掛けるメドレー。代表取締役医師の豊田剛一郎氏が登壇した(関連記事6)。

 「医療とは何か、医療の目的とは何か」――。豊田氏はそんな問いかけからプレゼンを始めた。かつて脳神経外科医として研鑽を積む中で、同氏は医療者の努力が必ずしも患者やその家族の幸せにつながらない現実に直面したという。「医療にできることと患者の幸せは、もはやイコールではない」(豊田氏)と痛感。患者とその家族を幸せにするという本来の目的を達成するためには、患者・家族と医療者の双方にとって「納得できる医療」が欠かせないと考えるようになった。

メドレーの豊田氏
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 納得できる医療とは、あの時ああすれば良かったという「後悔のない医療」(豊田氏)。後悔をなくすサービスを作りたいという思いが、同氏を突き動かした。

 「知らなかった」という患者の後悔をなくす。そんなサービスとしてメドレーが提供しているのが、500人を超える医師の協力のもと、1500種類の病気や3万種類の医薬品などの情報をカバーしたオンライン病気事典「MEDLEY」だ。患者の主体的な受診行動につなげる仕組みとして「症状チェッカー」も実装。患者が疾患や治療に対する理解を深めることを助けることで、MEDLEYは「患者と医師の“架け橋”になっている」と豊田氏は話す。

 「行かなかった」という患者の後悔をなくす。そのために始めたのが、遠隔診療サービス「CLINICS」である。豊田氏は脳卒中を例に、国内患者数は120万人に及び、介護となる要因の首位であり、年間医療費は2兆円に達すると指摘。にもかかわらず、脳卒中のリスク要因である高血圧症の患者の約半数以上が未治療という現実を語った。

 CLINICSでは、こうした患者にも医療を届けることを目指す。2016年のサービス開始以降、既に300を超える医療機関が導入し、治療継続率の向上などに貢献しているという。「遠隔診療を対面診療を置き換えるものだとは捉えていない。入院や外来、在宅といったさまざまな医療提供の形があるように、遠隔診療は医療の課題解決に向けたバリエーションの1つだ」と豊田氏は見ている。

日経デジタルヘルス Special

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