パナソニックの島田篤人氏
パナソニックの島田篤人氏
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 「顧客の要求が多様化し、製品が短命化している。マス・カスタマイゼーションの実現に向けて、バリューチェーンをデジタル化して高速回転させる取り組みが不可欠だ」。製造業を巡る最近の状況について、パナソニックで産業用ソリューション事業に携わる島田篤人氏(オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社スマートファクトリーソリューション事業部ビジネスイノベーションセンター ソリューションエンジニアリング総括部部長)はこう指摘する。

 島田氏は、スマート工場などをテーマにしたイベント「FACTORY 2017 Spring 東京」(2017年3月9~10日、ザ・プリンス パークタワー東京)に登壇。「パナソニックのスマートファクトリーソリューションと具体事例」と題して、同社のソリューションや自社工場での取り組みを紹介した。

 製造業のバリューチェーンを大きく「設計」「調達」「製造」「販売」の4つに分けたとき、デジタル化が最も遅れているのは「製造」だと島田氏は言う。設計はPLM(Product Lifecycle Management)、調達はERP(Enterprise Resource Planning)、販売はCRM(Customer Relationship Management)としてデジタル化が進みつつあり、「製造工程が(バリューチェーンの)デジタル化のラストピース」(同氏)というわけだ。もちろん、製造工程でもMES(Manufacturing Execution System)などによるデジタル化の取り組みはあるものの、実態としては「経験や勘に基づいて生産計画をマニュアルで作成している」(同氏)。

製造工程はデジタル化が遅れている
製造工程はデジタル化が遅れている
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 製造のデジタル化を進める上で重要になるのが、モノの流れと情報の流れを一致させることだ。ドイツの「Industrie 4.0」(インダストリー4.0)で提唱されている「Cyber Physical System」などは、まさにそれに当たる。「情報の流れを捉えてスケジュールを現場に伝えるCyber領域と、実際に部材を調達し、実装・組み立てをしてから出荷するまでのPhysical領域が、現実には必ずしも一致していない」(島田氏)。そこで、“情物一致”の実現に向けて、「製造オペレーション管理」(Manufacturing Operation Management)が必要になる。

Cyber領域とPhysical領域を一致させる「製造オペレーション管理」(Manufacturing Operation Management)の考え方
Cyber領域とPhysical領域を一致させる「製造オペレーション管理」(Manufacturing Operation Management)の考え方
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