米国サンフランシスコで毎年3月に開催されるゲーム開発者向け国際会議、GDC(Game Developers Conference)の展示会場では、ゲーム開発ツールなどに加えて、ゲームに応用可能な周辺技術も展示される。2017年2月27日〜3月3日(現地時間)に開催された「GDC 2017」では大小様々な企業がハプティクス(Haptics、触覚)デバイスを展示し、「触覚元年」を感じさせた。

日本発、気を吐く触覚ベンチャー:ミライセンス

ミライセンスは2年連続でGDCに出展し、確かな成長をアピールした(写真:筆者)
ミライセンスは2年連続でGDCに出展し、確かな成長をアピールした(写真:筆者)
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 日本勢で気を吐いたのが産業技術総合研究所発のベンチャー企業・ミライセンスだ。独自開発の3次元(3D)ハプティクス技術を応用したコントローラーで昨年GDCに初上陸。今年度は「3DHaptics VR Hybrid Technology」(24種類の国際特許を出願中、うち18種類が取得済み)を搭載したコントローラーを展示していた。

ミライセンスが出展した3Dハプティクス技術搭載コントローラーのセット(右上)と、フローティングパッドを備えたモックアップ(左下、写真:筆者)
ミライセンスが出展した3Dハプティクス技術搭載コントローラーのセット(右上)と、フローティングパッドを備えたモックアップ(左下、写真:筆者)
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 最大の特徴はコントローラー内に特性の異なる2種類のアクチュエーターを内蔵し、それらの組み合わせで、より多彩な触覚フィードバックを実現した点だ。コントローラーはスティック状で、両手で個別に操作できる。親指用の操作ボタンに触覚フィードバックを加える一方で、グリップ部分も独自に振動し、双方でハプティクスの体験を向上させる仕組みだ。

ミライセンスが見せた、操作ボタンが上下左右に引っ張られるデモ(写真:筆者)
ミライセンスが見せた、操作ボタンが上下左右に引っ張られるデモ(写真:筆者)
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 デモでは市販の画像認識装置と組み合わせ、「操作ボタンが上下左右に引っ張られる」「画面上のオブジェクトに力を加えた時の反発を再現する」「画面上のオブジェクトに触れた際の感触を再現する」という3種類の触覚表現を、3Dグラフィックスを活用した様々なデモで表現していた。

 ミライセンスのコファウンダー・代表取締役を務める香田夏雄氏によると、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)やゲームの操作デバイス、電気自動車向けユーザー・インタフェース(UI)などで問い合わせが増加中だという。ゲーム開発環境の「Unity」や「Unreal Engine4」向けのSDK(開発者向けキット)も準備済みで、「2017年秋には、このコントローラーを用いたハッカソンなどを開催したい」と抱負を語っていた。

ミライセンス コファウンダー・代表取締役の香田夏雄氏(写真:筆者)
ミライセンス コファウンダー・代表取締役の香田夏雄氏(写真:筆者)
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