医療機関と連携したゲノム提供情報サービスの実現を目指すP5(東京都)は、「医療ビッグデータ・サミット2016」(2016年2月26日、主催:日経デジタルヘルス)で講演し、運用検証中のゲノム情報提供サービスについて、その特徴や狙いを説明した。同社 ゼネラルマネージャープロダクト&サービスディベロップメントの田中拓氏が登壇した。

講演するP5の田中拓氏
講演するP5の田中拓氏
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 P5は、ソニー、医療従事者向け情報サービスを手掛けるエムスリーに加えて、ゲノム解析の装置や解析サービスを提供する米Illumina社が合弁で設立した。同社は2015年10月から、健康管理向けのゲノム情報提供サービスの運用検証を東京医科歯科大と共同で進めている。

 サービスは、ソニーと東京医科歯科大が共同研究してきた「ゲノム情報解釈アルゴリズム」をベースにしたもの。利用者が専門家と対話し、自分のゲノム情報から推測される病気のリスクを理解して、自ら健康管理や予防に結び付けていくことを目指す。将来は適切なインフォームドコンセントに基づいて、データを医学研究に提供する考えだ。

 このサービスは、健康診断や人間ドックのオプションとして、健康な人の疾病予防向けに提供することを想定している。ゲノム解析で遺伝的な疾患リスクを明らかにし、健康診断で現在の状況を確認する。問診や活動量計測、栄養記録のデータも取り、健康管理・予防に役立てられるようにする。

医療スタッフと対面で進める

 運用検証は、東京医科歯科大が医学部附属病院に設置した「長寿・健康人生推進センター」で行う。ゲノム解析と健康診断、結果説明、フォローアップまでをワンストップで提供する体制を整えていく。利用者は、配布されるソニーモバイルコミュニケーションズのウエアラブル端末「SmartBand」で活動量を計測するとともに、スマートフォンで食事についても記録する。

 初回に事前説明と同意取得、健康診断と検体採取をし、2回目で医師が結果を説明。栄養相談や生活改善の提案なども行う。その後、医師や栄養士によるフォローアップも予定している。サービス全体を通じて、医療スタッフと対面で進行していくことが特徴だ。

 運用検証での被検者は、ソニーやエムスリーの社員有志約100人。検査の実費は被検者が負担する形で、社内のサイトを通じて募集した。応募状況について田中氏は「実費を負担してでも受けたい人を募ったが、募集を始めた当日の午前中には、想定を上回る応募があった。うれしい反応」と手ごたえを語る。