非常にセンシティブな遺伝子情報(ゲノム情報)を現在の法制度の中でどのように扱っていけばいいのか――。「医療ビッグデータ・サミット2016 ~いよいよ研究から臨床・実サービスへ~」(2016年2月26日、主催:日経デジタルヘルス)に登壇した東京大学大学院 医学系研究科 医療経営政策学講座 特任准教授の山本隆一氏は、現状の枠組みにおける“遺伝子情報の取り扱いの難しさ”について語った。

東京大学大学院 特任准教授の山本隆一氏
東京大学大学院 特任准教授の山本隆一氏
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 2015年9月に改正個人情報保護法が成立し、2017年上期の施行が予定されている。この中で「要配慮個人情報」が新たな項目として加わり、人種や信条、犯罪経歴、犯罪被害歴などと並び「病歴」が含まれることとなった。

 要配慮個人情報は本人の同意を得ない取得を原則として禁止するものであり、山本氏は医療における情報活用促進がこれによって阻害されることを危惧する。「病歴を見ずに医師が診断することはできない。人種や信条など、まったく異なる性質の情報と同じくくりにしてしまったことが大きな問題だ」(山本氏)。