「私が着任した時にAMEDの組織図はすでにできあがっていたが、最初にそれを見たとき暗澹たる気分になったことを覚えている」――。

 2015年4月に発足した国立研究開発法人 日本医療研究開発機構、いわゆるAMED。これまで文部科学省、経済産業省、厚生労働省がそれぞれの予算枠で管理していた医療分野の研究費の配分を一元化する「医療研究費のワンストップサービス化」を担い、米国の国立衛生研究所(NIH)になぞらえて「日本版NIH」とも呼ばれている。

 AMEDの理事長を務める末松誠氏は、「着任した時点でのAMEDの組織図は、確信犯の縦割り組織となっていた」と振り返る。文部科学省は人材の育成、経済産業省は産業の育成、厚生労働省は安心安全な医療やレギュラトリーサイエンス(規制策定と実施のための科学的知識)というように、各省で研究の目的が異なっており、それらが無関係に動く仕組みになっていたのである。

 この“確信犯”の組織をどう変えていったのか――。医療総合展示会「メディカルジャパン 2016大阪」の基調講演に登壇した末松氏は、AMEDの組織改革や基幹プロジェクトとして取り組む「難病・未診断疾患プロジェクト」の概要などについて語った。

AMED理事長の末松誠氏
AMED理事長の末松誠氏