試作チップ(写真:ローム)
試作チップ(写真:ローム)
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今回開発したデジタルPLLの技術は、BLEだけでなく、他の無線技術にも今後、展開していくという(図:ローム)
今回開発したデジタルPLLの技術は、BLEだけでなく、他の無線技術にも今後、展開していくという(図:ローム)
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アナログPLL回路(上)と今回のデジタルPLL回路(下)の概略(図:ローム)
アナログPLL回路(上)と今回のデジタルPLL回路(下)の概略(図:ローム)
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 ロームとベルギーimec、オランダHolst Centreの研究グループは、消費電力が673μWと小さいデジタルPLL(ADPLL:All Digital Phase-locked Loop)を開発し、「ISSCC 2017」で発表した(講演番号:24.7)。2.4GHz帯、例えばBluetooth Low Energy(BLE)のRF回路での利用を想定する。ロームグループのラピスセミコンダクターが手掛けているような、BLE通信ICに適用した場合、「おそらく消費電力を約2/3にできる」(ローム)という。電力削減の結果、例えば同ICを搭載したIoTセンサー端末を、「乾電池駆動からボタン電池駆動にできる」(ローム)とみる。今回開発したデジタルPLLの技術は、BLEだけでなく、他の無線技術にも今後、展開していく考えである。

 PLL回路では、基準信号と位相を同期させた信号を、フィードバック制御によって発振回路から出力する。フィードバック経路に分周回路を配置し、周波数を逓倍する。一般的なアナログPLL回路は、位相比較器(Phase Detector)とループフィルター、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、分周器(Divider)で構成する。分周器を通じてフィードバックしたVCOの出力信号と、基準信号を位相比較器に入力して位相を比較する。
 
 今回のデジタルPLLでは、VCOの代わりにDCO(Digital Controlled Oscillator)を、位相比較器の代わりにTDC(Time to Digital Converter)、分周器の代わりに「Snapshot(スナップショット)」回路を用いる。